【連載】クオリティ・スクールを目指す 第96回 教師の労働時間の課題

教育創造研究センター所長 髙階玲治

 

職務内容の質的転換が必要

電通の女性社員が1カ月の残業100時間を超えて耐えきれずに自殺した。その報道を契機に政府は「働き方改革」を急いでまとめている。

それによれば、企業の残業時間を月60時間に制限するという。ただ、企業の繁閑に配慮して、忙しい月には100時間までの残業を認める。年間では平均月60時間に抑えるようにし、違反企業には罰則を科すという。

この規制を学校に当てはめるとどうなるか。最近、ある市の新任教諭が月90時間の残業という話が聞こえてきた。

最近の調査では、連合総研が1月19日に「教員の週労働時間60時間超」という報告をまとめた。つまり、1日12時間労働である。それによると、週の労働時間が60時間以上の教員は小学校が72.9%、中学校が86.9%である。50時間未満の該当者はいなかったというから、すべての教員が1日10時間以上働いていることになる。長時間働くとかえって仕事の能率が下がるだけでなく、疲労が蓄積したまま教壇に立つことで、子供の指導に大きな影響を与えている可能性がある。

この実態は大きな問題である。周知のようにOECDの中学校教員を対象にした調査TALISでは、わが国の教員の勤務時間が参加国中最長という結果であった。週53.9時間であった(平均38.3時間)。

文科省は、平成18年度に、教員勤務実態調査を詳細に行っている。1日当たり10時間22分で、月の残業時間は約34時間としていた。実は、その40年前の昭和41年にも実施していて、その当時の残業時間は月約8時間であった。40年過ぎて大幅に増加したことになる。

文科省の18年度調査から10年過ぎたが、やはり残業時間が増加している。それに対して同省は、例えば「チーム学校」などの改善策を考えている。最近も中学校の部活の休業日を徹底するようにしたり、業務改善アドバイザーを派遣したりするという。さらに改正義務標準法によって通級指導や日本語指導などの改善も行われる(詳細は本紙2月13日付)。

ただ、今後はこれまでと異なる教育の質的な転換が予想されるのであって、実態はますます多忙化が進む状況にある。はたして効果的な改善策を生み出せるだろうか。

その場合、企業でいえば残業時間を少なくしてどう生産性を高めるか、が課題になる。学校の場合は、教員個々の資質・能力の向上がカギとなる。最も必要とする子供に向き合う教育の質の向上である。

教育という分野における「働き方改革」をどう考え、どう展開するか、早急の課題であると考える。

そのことが十分に考慮されないと、例えば、次期教育課程の定着度が低下する可能性があると考える。

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