【連載】新任校長のチャレンジ 月別の校長術最強指南12

教育新聞論説委員 寺崎千秋

 

3月
総仕上げを次年度へとつなぐ
学校経営計画を作成するポイント
仕上げを子供と共有する

3学期(2学期制では2学期後半)は、年間の仕上げのときであり、3月はまさに総仕上げといってよい。学校評価・自己評価、学校関係者評価、第三者評価、学校運営協議会による学校評価などが実施され、これまでの教育の成果が確認されたであろう。

これらをもとにして、学校教育目標に掲げた子供の姿がどのように具現しているかを把握し、教職員のこれまでの教育活動や校務遂行の創意工夫や一致協力、努力の成果として確認する。

確認した成果、子供の育ちを子供たちに伝え、自信や誇りが持てるようにする。この1年間でどのように進歩し成長したかを具体的に伝え、1年間の学びの成果を教職員と子供で共有し、喜びを分かち合う。

家庭・地域にも子供たちの育ち、成長の姿を伝え、学校・家庭・地域の協働の成果であることを喜び、共有する。

新たな学校づくりの出発点

3月は、次年度に向けた準備の総仕上げのときである。次年度の学校づくりの出発点でもある。

1月には教育課程編成・指導計画作成に向けた取り組みを開始し、2月には学校運営組織の改善に向けた取り組みを行ってきた。その他にも、学校評価等で成果の継続や学校改善に向けた意見や提案が寄せられているであろう。

これとともに、次期学習指導要領が目指している「資質・能力の三つの柱」を中核とする新たな「生きる力」を学校教育目標や教育課程に具現することが求められている。

これらを踏まえて、次年度の学校経営計画案を作成し、子供、教職員、保護者、地域や関係者がチームとして一丸となってさらなる教育の質の向上に向かって進めるようにすることが責務である。

スタート地点は3月にあることをしっかりと確認したい。

どんな学校を目指すか 新たな学校文化の創造

平成29年度から次期学習指導要領に基づく教育課程の編成・実施に向けた動きが始まる。これを受け止めて、次の教育課程でどんな子供を育成するのか、そのためにどんな学校づくり・学校文化の創造を始めるのか、そのビジョンや展望を示すことが必要である。

この1年間に育んできたこれまでの学校文化を継承発展させていくのか、はたまた新たに何かを中核に据えるのか、保護者や地域の人々の思いや願いを受け止め、校長としてリーダーシップを発揮してこれらを打ち立てていく必要がある。

すなわち、学校教育目標とも関連付けて、例えば、ESD、人権教育、地域の伝統や文化、キャリア教育、道徳教育・心の教育、学力向上、体育・健康教育、情報教育などの何を核にし、どのような学校文化を創造し育んでいくかを明示する。明示する姿は簡潔で分かりやすく、意欲ややる気が湧くメッセージとなることが望ましい。未来をひらく姿となるよう工夫したい。

学校経営方針の提示

学校経営ビジョンを打ち立て、具体的なメッセージとして示したなら、それを具現するための方針を示す。

その際、あれもこれもと欲ばって方針のオンパレードとならないよう留意する。

かつて本欄でも示したように「八ヶ岳型」になれば教職員等のエネルギーは分散され、1つの方向ではなく、バラバラに発揮されることになり、がんばった割には結果が出ず、疲労感、徒労感ばかりが残るということになりかねない。ピラミッド・チャート式に最重点は1つ、次が2つ、残りはルーチンで着実にこなすというように、重点を絞って見えるように示すとよい。

校長の仕事は、そのトップとなるものを何に絞るか、学校教育目標と新たに目指す学校文化の創造を視点にして決断する。

リーダーシップの在り方を見直す

この1年間、どのようにリーダーシップを発揮してきたか。トップダウン型か、ボトムアップ型か、それとも中庸的な双方向性型か。その結果と、子供や学校・地域の実態を踏まえて、どのタイプのリーダーシップ発揮でいくかを決断する。これは、教職員の力量等学校の実態を踏まえることが大切である。放任型や任せっぱなしは無責任であり、避けなくてはならない。リーダーシップの発揮が大切であり、1年間の自校での経験を十分に生かし、未来を見据えた学校経営のリードを行うようにしよう。

ビジョン実現への見通しを示す 3年計画の提示

教育課程改訂期はおよそ10年に1回の学校改革期でもある。進化した「生きる力」を具現する「資質・能力の三つの柱」を視点にして教育目標を見直し、「社会に開かれた教育課程」を編成する。

この重要な期間にどのような見通しで新たな学校づくり、学校文化の創造を推進するか、次の例のように明確に計画を示す必要がある。

[平成29年度]教育目標の見直しへの取り組み、新学習指導要領の趣旨の理解、移行措置・先行実施への対応方針と計画作成(道徳科、外国語活動など)、カリキュラム・マネジメントの実践や「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善の取り組み、日課表や時間割の研究・検討、保護者や地域の人々に新学習指導要領の趣旨を説明

[平成30年度]移行措置・先行実施の取り組み、次期教育課程の編成、カリキュラム・マネジメントの実践や「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善の取り組み、日課表や時間割の決定、保護者や地域の人々に次期教育課程について説明と協力・連携依頼

[平成31年度]移行措置・先行実施の取り組み、新教科書の採択、次期教育課程に基づく各教科等の指導計画の作成、カリキュラム・マネジメントの実践や「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善の取り組み、保護者や地域の人々とともに新たな学校づくり体制を整え、可能なところから進行
 (平成32年度、小学校から順次、教育課程全面実施。)

チームとしての学校の機能発揮

異動が明らかになってくるときであり、これを踏まえて人事構想を考え、新たな校務分掌組織を編成する。ミドルリーダー、若手、ベテラン等の教員、教員以外の事務や学校司書、SCやSSW、特別教育支援員等の専門職などが、教育活動や学校の組織運営に参画し、それぞれの力量や専門性を発揮し、一体となりチームとして教育の質を高めていくことができるように校長がリーダーシップを発揮していく。

これにしっかり応えられるよう視野を広げ、見識を深めて取り組むことが求められる。

学校経営案の提示と意見聴取

以上の内容を学校経営案として作成し、教職員に提示し説明する。その上で、この案についての意見を求める。

例えば、考えや意見を経営案に朱書きで書き入れて提出してもらい、内容によって当人からさらに意見聴取する。学校によっては学校評議員会に意見を求めたり、地域運営学校の運営委員会で検討するなどもあろう。

参考にすべき意見については学校経営計画に取り入れるようにする。特に意見のない場合は、提示した経営計画に異論はないということで受け止める。

全員で検討した上での学校経営計画として位置付け、これに沿って次年度の教育活動や学校運営を推進していく旨を公表する。
(おわり)