【連載】もっと輝く若い教師 ―支えの手があれば― 2 新任教員がぶつかるカベ

若い教師を応援する会代表
共栄大学教育学部教授 和井田節子

 

5~6月が第一の山場に

新任教師が初めての教職経験の中で困難感を抱えるのは、リアリティ・ショックという言葉もあるくらいに一般的なことである。そしてその困難感のパターンは、校種にかかわらず一定の共通性がある。ヒューバーマンの研究によれば、特に1~3年目は、理想と現実の大きな隔たりに直面し、動揺しながらもなんとかそれを切り抜け、教師として「生き残る」ことと、教師の仕事や教師集団の一員としての自分への最初の感激を「発見する」ことがテーマだという。

新任教員の4月は、まさに「生き残る」ことに向けた試行錯誤の連続だが、管理職や同僚からの丁寧な説明や気遣いによって、その困難感は軽くなる。

まず、困難感のパターンを、1年を通して見渡してみたい。

5月の連休明けから6月にかけて、第一の山場がやってくる。授業や行事が本格的になり、新任教員は多忙な日常の中で準備が追いつかなくなるのである。教室の子供たちが落ち着かなくなるのもこの時期である。周囲のサポートを得ながら問題をなんとか収められると、夏休みは目の前で、余裕もでてくる。しかし、教室のコントロールが難しくなったり、子供たちとの関係がうまく作れなくなったりすると、授業や学級経営への困難感が増す。特に、その教室とずっと向き合わなければならない小学校の新任教員には、逃げ場がない。そのストレスは大変なもので、体調を崩してしまうこともある。

夏休みに入り、授業から離れると、新任教員は自分を取り戻し、ゆとりもでてくる。しかし、夏休みが明けると、新任教員にとっての第2の危機的時期である9~10月がやってくる。学校行事が多く、授業も本格的に進めなければならないのだが、何をどう力を入れたらいいのかの見通しがつかめないのである。この第2の危機の時期の困難感は、5~6月の第1の危機の問題がある程度解決していれば、それほど大きくなくてすむ。しかし、問題をひきずったままだと、第2の危機は以前より複雑化する。学級が荒れたり、保護者からのクレームが強まったりといった状況になると、そのストレスによる心身の不調から、新任教員が休職に入ってしまう場合も起こってしまうのである。

これら2つの危機をうまく乗り越えることができて、11月に入ると、だんだんその年度の終わりが見通せるようになってくる。子供たちも新任教員のやり方になれてくる。子供との出会いや同僚との協働を通して感動ややりがいを「発見する」ことができると、教職の感覚が身体になじんでくるのである。次回は、これらのカベにぶつかる新任教員への支援について考えたい。