【連載】多様な先生に学ぶ 学外人材活用と体制 5 地域連携を通して学校改革

NPO法人スカイ学校支援ネットワークセンター理事長 森本芳男

 

東京都墨田区で学校支援事業が展開されるようになった背景には、次のような経緯があった。

私が平成8年に墨田区の中学校長として赴任した学校では、生徒の問題行動が多発し、正常な授業が行えない状態であったが、地域や保護者の方は学校を応援しようという協力的な地域だった。そこで、学校改革に地域の方に参加・協力してもらいたいと考え、「ふれあい学習」を開始した。

「ふれあい学習」とは、“ふれあい”をキーワードに学校を地域に開き、学校と地域の連携を図る教育を展開するものである。具体的には、どの学年も次の3つのステップをスパイラルに取り入れながら「生きる力」を育む。また、この時期は、「ゆとり」の中で「生きる力」を育む総合的な学習の時間が教育課程に組み込まれるという大改革もあり、追い風となった。

第1ステップ「地域の人を学校へ」

各教科・道徳・特別活動・総合的な学習の時間等に地域の方を講師として招き、その知識・技術・考え方・キャリアなどから人生観、職業観、生き方等を学び、夢や目標をもたすきっかけづくりとした。あわせて、講師の話や実技・体験などから、自ら問題を発見・解決する場面を経験した。この実践が後日「出前授業」として確立したものである。

第2ステップ「地域に出て体験を」

地域に出て生活体験・社会体験などを行い、「生きる力」を育む。地域は身近で効果の上がる学習場所である。第1ステップで発見した各自の課題を地域での体験活動を通して追究し解決させる。

一例を挙げれば、1年生でボランティア活動、2年生で職場体験、3年生で高校訪問・体験入学などだ。

これらの学習では、学習の内容だけではなく、人との交流によって、言葉づかい・インタビューなどの言語活動や挨拶・マナーなど社会生活上で必要なスキルなどを学んだ。

第3ステップ「地域とともに学習を」

学んだ成果や体験を、広く保護者や地域社会の方に発表する協働的な学習によって「生きる力」を育む。生徒は発表することで、学んだ体験や成果をまとめ、考えを整理し学習を定着・深化させた。

実践は文部科学省から進路指導総合改善事業推進地域指定を受け、平成11年に全国発表した。

保護者・地域・教職員が一体になった教育の展開で、生徒は多くの大人に温かく見守られているのを実感し、地域や学校を愛し、誇りや自信を持って落ち着いた学校生活を送る変容をみせた。

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