【連載】もっと輝く若い教師 ―支えの手があれば―4 新任教員のメンタルヘルス

若い教師を応援する会代表
共栄大学教育学部教授 和井田節子

5~6月に一度はSCと話す

教員採用数の増加に伴い、適応やメンタルヘルスに関する課題があらわれてきている。新任教員の最初の1年は条件付き採用期間であるが、文科省によると、2年目に正式採用にならなかった新任教員数は、平成15年には111人(離職率0・61%)だったのが、平成17年以降離職率は1%を超えるようになった。平成27年には316人(同1・03%)と、人数は約3倍、離職率は約2倍に増加している。

新任教員の離職は、4人に1人が精神疾患によるもので、中には、自殺という痛ましい結果に至るケースもあるので、注意と支援が必要だ。

精神科の中島一憲医師は、教師の精神疾患を「もっとも多いのは抑うつ状態に陥る燃え尽き症候群(バーンアウト)」であると指摘している。

バーンアウトとは、教師・看護師などの対人援助職に特有のストレスを指す概念である。単なる疲労とは異なり、「長期間にわたり人を援助する過程で、解決困難な課題に常にさらされた結果、極度の心身の疲労と情緒の枯渇をきたす症候群であり、自己卑下、仕事嫌悪、関心や思いやりの喪失を伴う状態である」と定義されるものである。

また同医師は、子供の生徒指導上の問題がひきがねとなる割合が高いことを明らかにしている。新任教員が危機に陥りやすい5~6月は、生徒指導上のトラブルが起こりやすい。

学年が始まった最初の頃の子供たちは、座席の周囲の子供たちとまず仲良くなるが、やがて気の合う子供たち同士でグループを組み直す動きが起こる。この過程で子供同士のトラブルが起こるのである。

さらに5月は、学校全体が忙しくなって、ベテラン教師が激減した学校では特に、新任教員へのサポートが薄くなる。条件付き採用期間にある新任教員には、学級経営や授業がうまくいかないのを明らかにしたくない心理が働く。責任感の強さも加わって、問題を抱え込み、事態を悪化させることも起こるのである。

筆者は、この時期の新任教員全員が、一度はスクールカウンセラー(SC)に話を聞いてもらうシステムを作るのを勧めている。直接の利害関係がないカウンセラーに話す中で、問題を整理したり、気持ちが楽になったりする場合は多い。何より、解決の方法を一つ手に入れることになるのである。

また管理職は、新任教員が夜、睡眠がとれているか、バーンアウトしかけていないかに注意してほしいと思う。必要なら休ませて、子供から距離をとる、医療につなぐなど、早めの対応をしてほしい。世の中は失敗を許さない不寛容の方向に動いているが、学校は、未来を担う若い教師を、長い目で育ててほしいと思う。

次回は、研修を通した成長支援について考えていきたい。