【連載】教育の連続性を考える 公立中高一貫校の現場から 第1回 カギ握る公立中高一貫校

教育ライター 佐藤 智

 

私は、学校教育ライターの立場で、これまで全国500人以上の学校の先生に話を聞いてきた。その経験から、『公立中高一貫校選び 後悔しないための20のチェックポイント』(ディスカヴァー21)を書き、講演などを行っている。

保護者からは「自分たちが育ってきた環境とはあまりにも違うので、学校をどう選んでよいかわからない」などたくさんの質問が出る。今、保護者は学校選びに苦心し、喉から手が出るほど情報を欲している。

それに対して、学校情報が十分に伝わっているかというと、決してそうではない。これまで先生方の話に何度も感動してきたので、保護者にもその声をきちんと届けたい。その思いから、私は学校と一般の方をつなぐ橋渡し役を担うようになったのだ。

なかでも、公立中高一貫校に注目しているのは、「教育の連続性」が今後一層必要になると考えるからだ。学校種を接続させ、教科、探究活動などにおいて中長期的に子供を育てていく視点は欠かせない。

例えば、英語では4技能のバランスをよく鍛え、国際社会で活躍するコミュニケーション能力を育成することが求められている。そのための手法として、授業にディベートを取り入れる学校もある。しかし、「3年間では、〝型〟を習得するだけで、言語活動として深めていくことができない」という先生方の嘆きも耳にする。一方で、6年間をかけられる公立中高一貫校では、マイクロディベートからアカデミックディベートへと成長させていくなどの指導ストーリーを描くことができている学校も少なくない。

公立中高一貫校がこうした「教育の連続性」のインパクトを示すことで、一般の中学校・高校が結びつく意義を見いだせれば、結果的に学校教育が底上げされていくのではないだろうか。

以前、保育園から大学までの有志の先生方が一堂に会して「地域の子供をどう育てるか」を語り合う場に同席した。公立中高一貫校の取り組みは、こうした「地域の子供をすべての学校種で育てる」という視点に生きていくはずだ。そんな思いから、全7回で公立中高一貫校について連載する。

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佐藤智(さとう・とも)=横浜国立大学大学院教育学研究科修了。ベネッセコーポレーション教育研究開発センターで、学校情報誌を担当。現在は教育ライターとして執筆、講演などを行う。