【連載】もっと輝く若い教師 ―支えの手があれば―5 学びと実践つなぐ視点が重要

若い教師を応援する会代表
共栄大学教育学部教授 和井田節子

成長を支える研修とは何か

今のベテラン教師が若者だった20年から30年ほど前、若い教師は先輩教師との雑談や飲み会などインフォーマルなコミュニケーションの中で育てられてきた。

だが、今の学校は忙しく、ライフワークバランスをとりたくともとれないのは、若い教師に限らず悩みの上位である。雑談や懇親会のゆとりはなく、若い教師たちを飲みにつれて行くはずのベテラン教師の方も大量退職によって激減している。忙しさの中で自身を振り返る時間さえなくなっていくのは、教師としての資質能力向上の機会を失うことにもつながっていく。

インフォーマルなコミュニケーションによる育成が難しくなってきているのなら、フォーマルな研修の中で若い教師を育てる仕掛けを作ろうという工夫が、初任研の中でもさまざまな形で行われている。

採用が比較的少ない自治体では、初任研の校外研修で、毎回初任者同士が協議する時間を設けて、そこに教育センター等の職員全員体制で助言ができるようにしている教育委員会は複数ある。石原陽子プール学院大学准教授の研究によると、採用人数が少ない地域の初任者の方が、都市部と比べて初任研等の公的な研修を自己成長の機会と位置づけている割合が高いという。実際、初任者だけでなく初任研が終わったあともセンターに教材を探しにきたり、指導主事に相談にきたりという交流が生まれたという話も聞く。

採用数が多い自治体でも、アンケートと「研修だより」を使って初任者を支えようとの取り組みがある。毎回の研修後にとるアンケートに、悩みを書く欄も設ける。次の研修の「研修だより」で悩みに対する助言を募集し、その次の「研修だより」にベストアンサーを載せるというシステムである。一手間かかるが、悩んでいるのは自分だけではないのが分かるし、教育センター側も悩みの傾向が分かるので、プログラムを考えやすいという話であった。

高知県教育委員会の川田弘人氏は、初任研後のアンケートを分析するうちに、後の成長著しい教師の初任研アンケートには、自己の学びを実践とつないで客観的に記述する者が多いのに気づいたという。

そこで「研修前と研修後で何が変わったか」「実践にどうつないでいくつもりか」といったリフレクションにつながる問いを出すようにして、研修の深まりと自律的な学びの促進を目指した。

近年、多くの自治体で導入されてきた、2年、3年経験者対象の公的研修にも活用できる方法である。

次は、校内研修によるサポートを考えていきたい。

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