【連載】クオリティ・スクールを目指す 第99回 次期教育課程の革新性

教育創造研究センター所長 髙階玲治

新学習指導要領の理解に向けて

新学習指導要領が3月31日に確定した。平成26年の諮問以後、中教審論議などにみられた新しい教育改革の方向性から、その内容に大きな期待があったと考えるが、どうであろうか。

例えば、学習指導要領は「学びの地図」といわれたが、受け止めはどうであろうか。また総則は大きく変わるとされていたが、印象はどうか。何よりも答申が掲げていた「何ができるようになるか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」などの鮮明な記述がないことで曖昧な印象が残ったとする考えもある。

教育の在り方に関する基本的な考え方は答申に譲っているからであろう。学習指導要領は法的な性格を持つため、学習目標・内容・方法・評価等の具体的な記述は限界がある。

ただ私は、次期教育課程は極めて革新性が高いと考えている。その端的な理念として、子供に身に付けたいことを、「学びに向かう力」としているからである。それを小学校段階から徐々に形成したいという基本の考え方がみえる。

なぜ、それが革新的なのか。

周知のように、学習指導要領は10年ごとに改訂されてきたが、それぞれの改訂論議には教育の目指す理念が示されてきた。例えば、1980年代の自己教育力、2000年代の確かな学力観がある。ただそうした理念は、教育の在り方として示されても、将来的な子供の成長に向けてどう形成するかはあまり明確でなかった。

今回の中教審の論議は、その点ではかなり努力がみられたといえる。何よりも予測が難しい将来に向けて、子供個々にどのような「力」を形成するか、危機感が増大しているほどに、重要な課題とされていたのである。

そのことで新しく前文が記載されているが、その中に子供が「持続可能な社会の創り手となる」ことが求められるとする文言がある。また「よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念を学校と社会とが共有し」という文言もある。

実のところ、そうした文言はあっても、総則に書かれている内容は必ずしも明確ではない。従来型の総則の内容を変えて詳しく述べている印象である。

つまり、次期教育課程の革新性について、これからの教育においてどう実現するか、学習指導要領を読んで分かったつもりでは十分ではない。答申にみられた理念を改めて考える必要がある。したがって、答申と要領の両者を十分に理解する必要がある。その点が従来においても、学校や教師はかなり不十分であった。

29年度は「周知・徹底」とされているが、文科省が具体的に周知・徹底をどう図るか、強く期待したいと考える。

 

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