【連載】クオリティ・スクールを目指す 第100回 新聞を読む子供を育てる

教育創造研究センター所長 髙階玲治

 

社会への関心が成長に役立つ

これからの社会は、予測できない形で大きく変動するといわれる。そのため、子供が身につける学びの力は、変わる社会に有用な働きをする必要がある。

そのため子供は、学校で学んで得た力を実社会や実生活でも有効に活用する術を獲得することが大切になる。

その意味で「中央公論」3月号に、小学校に広がる新聞を教材にした学習・NIEについての記事が載っていたのが注目される。

昨年8月に大分市で開かれた第21回NIE全国大会で市内の小学校5年生が、4月に起きた熊本地震に関する記事を読んで感想や意見を出し合ったという。自分たちでできることは何か、という議題に「募金活動を支える」「非常食を用意しておく」などの多様な考えが出されたという。「非常食も大事だが、訓練通りに行動すれば命が助かる」「地震を止めることはできない。自分にできることは何もない」という子供もいた。

社会で起きた出来事に興味・関心を持ち、自分の考えや判断を持って、さらに仲間と話し合うことで社会的な課題を身近なものにしていく。子供が社会について関心を持つことは、将来に向けた生き方を考えることにつながる。

学校に用意される新聞は一般紙の他に、子供向けの新聞も全国でおよそ80紙あるとされる。当然、子供向けにわかりやすい表現で書かれていて、それを読んで感想文を書かせる学校も多いという。

全国学力・学習状況調査では、8・7%の子供が「ほぼ毎日」新聞を読んでいるとなっているが、「中央公論」の記事には、そのような子供の学力は国語、算数ともに、読まない児童よりも確実に高くなっているとされる。新聞を読みとる力が、確かな理解や思考力などを磨くのであろう。なお、「週に1~3回程度読んでいる」は15・1%であるが、「テレビのニュース番組など」をよく見る57・2%である。

新聞を読むなど、社会への関心を持つことのさらなる期待はメディア・リテラシーの獲得である。今後、多様なメディアに遭遇するであろうが、情報を鵜呑みにせずに、確かな判断力を持つことの大切さを学ぶことが重要である。

そのためにも社会に関する新聞記事を読み、仲間と語り合う場を持って、ニュースなどを批判的に読み合うことが大切である。学校図書館に新聞を置いている小学校は平成28年に初めて4割を超えたというが、さらに伸ばしたい。

国語や社会、総合的な学習などの授業でも、ニュースや記事を活用できる場が多くある。社会の出来事に触れることで、自分や地域を取り巻く課題に気づき考えることは、視野を大きく広げる大切な働きである。将来に向けた成長の糧になることは確かである。