【連載】教員の多忙を科学的に読み解く 2 他職との比較から読み解く

(独)教職員支援機構研修特別研究員 神林寿幸

他職との比較を行い、教員の働き方を相対的に捉え、教員(主に公立小中学校教諭)の多忙を考察する。

ここでは、(公財)連合総合生活開発研究所(連合総研)が平成27年12月に実施した「教職員の働き方と労働時間の実態に関する調査」の報告書「とりもどせ!教職員の『生活時間』」(2016年)の第2章をもとに、教員の労働時間と管理職による勤務時間管理について論じる。

まず教員の労働時間について、連合総研調査で有効回答の得られた小・中学校教員は、いずれも週の労働時間が50時間以上であった。週の労働時間が「50時間~60時間未満」であったのは小学校で27.1%、中学校で13.1%、「60時間以上」は小学校で72.9%、中学校で86.9%であった。

同総研が民間企業労働者を対象に行った「第31回勤労者短観」によれば、有効回答の得られた正規の民間企業労働者で、週の労働時間が「50時間以上60時間未満」であったのは18.2%、「60時間以上」が13.7%であった。厳密な比較ではないが、これらの調査の単純比較からは、民間企業労働者よりも、教員の労働時間は長いといえる。

このように教員の長時間労働傾向が推察されるわけであるが、その背景の1つには、学校での管理職による時間管理の低調さがうかがえる。

連合総研調査では「管理職が自宅での仕事を含めた実際の勤務時間を把握していると思うか」を尋ねたところ、「そう思う」の割合が小学校教諭で17.5%、中学校教諭で18.2%にとどまった。同様の調査項目は「第31回勤労者短観」でも設定されたが、同設問に対して「そう思う」と回答した民間企業労働者は61.9%であった。

これらの数値も厳密な比較はできないが、単純比較から民間企業に比べて小・中学校では、管理職の勤務時間管理が十分に行われていないことが読み取れる。

以上により、他職労働者に比べて教員は業務管理が十分ではなく、そのことが長時間労働=多忙を生じさせている可能性がうかがえる。

教員の多忙対策として管理職のタイムマネジメントが指摘されて久しいが(青木栄一「教員の仕事をどうデザインするか」『BERD』No.14(2008年)13~17ページ)、あらためてその重要性がデータから示されたといえる。

[付記]本稿は筆者の個人的見解を記したものであり、所属機関の見解ではない。また引用した調査の実施主体と筆者の所属機関には関係がない。

 

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