【連載】目指せ管理職 学校管理職合格講座 IV 第5回 広い視野で新学習指導要領に対応

教育新聞 教育管理職研究会編

教員集団づくりに全力で
○教育改革の流れ、動向を再確認する

新学習指導要領が告示され、各学校では全面実施に向けた準備に入る。経営のトップたる校長は、今次改訂に至るまでの教育改革の流れを再確認した上で、改訂の背景等を把握し、相当の知識、考えを持って、経営や教員の指導にあたりたい。

児童生徒が生きていく将来の社会は、グローバル化の進展、社会の急速な変化によって予測しがたいも
のである。そのために、どんな力をどのように身につけさせるのかが学校教育に改めて問われている。

そこで、近年の教育改革について、「もっと教育の目的・目標を明確にする必要があるのではないか」
「その目標を達成するために、必要な教育内容に改めるべきではないか」「教育の推進のために行政や学校を含めた構造や仕組みを改善するべきではないか」という、この3つの柱からみると、その流れをつかみやすい。

さらに「教育の構造改革―画一と受け身から自立と創造へ(文科省パンフレット)H15)」、中教審「新しい時代の義務教育を創造する(答申)H17」などに目を通すと、さらに分かりやすい。

○行き先・目標を明確にする

教育の目標については、より明確にすべきであるとのことから、平成18年に「教育基本法」が改正され、新たに教育の目標が明記された。今次の学習指導要領の改訂にあたって、新たに、総則の前文に教育基本法で定めた教育の目的と目標を示し、その達成のため学習指導要領を基準として各学校の教育課程により教育は行われるとした。行き先(目標)が分からない航行ほど怖いことはない。行き先が明確になったことで何をすべきかもはっきりとする。

教育基本法の改正を受け、その翌年に「学校教育法」が改正され、義務教育の目標(第21条)や各校種
ごとに目標が明確化された。今次、学習指導要領では「生きる力」を育み、特に教育課程の編成の枠組みを分かりやすくするため、各教科等を通し、求める資質・能力を「知識及び技能の取得」「思考力、判断力、表現力等の育成」「学びに向かう力、人間性等の涵養」の3つの柱に整理するとしている。

今後、社会人として必要とされる資質・能力について各機関から報告されているので、児童生徒に必要
な資質・能力を考える際、これらも参考にしたい。

▽OECD「キーコンピテンシー=主要能力、(社会・文化的、技術的ツールを相互作用的に活用する能力、人間関係形成能力、自律的に行動する能力)

▽経済産業省「社会人基礎力」=前に踏み出す力、考え抜く力、チームで働く力。(H20)

▽国立教育政策研究所「21世紀型能力」基礎力=言語・数量・情報を道具として目的に応じて使いこな
す力、思考力=中核的能力で、自ら学び、判断し、自分の考えを持って、他者と話し合い、比較吟味して統合し、解や新しい知識を創り出し、さらに次の問いを見つける力。実践力=日常生活や社会の中に問題を見つけ出し、知識を総動員して自分やコミュニティー、社会にとって価値ある解を導くことができる力。(H24)

○学校全体で、さまざまな内容改善に取り組む

今次の改訂では、社会の変化に対応できる資質・能力を培うため、小学校での外国語科(英語)、プロ
グラミング教育や小・中学校社会科での領土教育、主権者教育、読解力を高めるために、国語科で調べたり、報告したり、中学校では、新聞情報などから自分の考えを提案するなど新しい内容がさまざまに盛り込まれた。こうした内容改善に積極的に取り組む教員集団づくりに全力で当たりたい。

先進校に学んだり、自校の教員の研修意欲を高め研修を束ねていったりする中心は、校長の意識・態度
にかかっている。最も重要なのは、新しく提示された内容を含め、一人ひとりの教員の毎日の授業に今次改訂の趣旨や内容が生かされ、主体的で、深い学びが展開され、児童生徒の成長が図られることである。

▽学校教育法第30条=小学校における教育は、…(中略)第21条各号に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。

2 前項の場合においては、生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力を育み、主体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければならない。