【連載】教員の多忙を科学的に読み解く 3 先進国比で日本の特性は

(独)教職員支援機構研修特別研究員 神林寿幸

教員の勤務実態に関する国際データとして、OECD第2回国際教員指導環境調査(TALIS2013)が有名である。2014年公表の同調査の集計結果で、日本の教員の週の労働時間が参加国で最長だと示された(国立教育政策研究所編『教員環境の国際比較』2014年、明石書店)。だが、上記結果には非正規教員の情報も含まれており、非正規教員の割合が小さい日本では、同割合が大きい国よりも、教員の労働時間が過大に推定されうる。

そこで今回は、個票データが公開されている日本、フランス、イタリア、イングランド、アメリカの先進5カ国で、正規教員の勤務実態の比較分析を行う。

分析から次の2点が特筆された。第1に、先進国の中で日米英の教員の労働時間が長い。TALIS2013における10の週あたり業務時間の合計を週労働時間とすると、その平均は米が62.5時間、日本が58.0時間、英が52.8時間、仏が40.3時間、伊が37.0時間であった。

米国教員の週労働時間の平均は日本よりも大きいが(統計的検定も有意)、先進国の中でも日本の教員は長時間労働であった。英国でも近年、教員の業務負担が政策課題とされ、2016年に同国教育省は教員業務負担調査を行った(Department for Education Teacher Workload Survey 2016 Research Report,2017)。今回の国際比較からも、英国教員の長時間労働が示された。

第2に、以上の日米英の教員の勤務実態は、学校教育への社会・政策的期待に左右される。

米の教員は授業に費やす時間が週27.1時間と特に長かった(英20.5時間、日本17.9時間)。この背景には、米国で授業が学校教育の中核であることが考えられる。英国の教員は成績処理に費やす時間が週6.6時間と長く(米4.9時間、日本4.5時間)、これは学校評価に向けた生徒の成績データ整理が政策的に要求されているからと推察される。

日本の教員は課外活動に費やす時間が7.7時間と長かった(米3.2時間、英1.9時間)。日本で部活動は教育活動として受容され(中澤篤史『運動部活動の戦後と現在』青弓社、2014年)、こうした経緯から上記のような勤務実態となったと考えられる。

以上を踏まえると、日本の教員の労働時間縮減には、教員が行える教育活動は何かという視点から学校教育を見直すことが不可避であり、そのための社会的議論が急務といえる。

[付記]本稿は筆者の個人的見解を記したものであり、所属機関の見解ではない。

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