【連載】教育の連続性を考える 公立中高一貫校の現場から 第6回 進路指導に優位性がある

教育ライター 佐藤 智

公立中高一貫校の人気の秘密の1つに、大学への高い進学実績がある。

例えば、今年度の東大への実績を見ると、東京都立小石川中等教育学校は14人、千葉県立千葉中学校・千葉高校は18人合格となっている。

こうした実績の裏には、中学校時点で高校の学習分野の先取りが許される、特例措置の存在が大きい。

また早期に志を高く設定できるのも大きな意味を持つ。

拙著『公立中高一貫校選び 後悔しないための20のチェックポイント(ディスカヴァー21)』でも紹介したが、東京都立白鴎高校・附属中学校では、中学校3年生の「上級大学訪問」で、東大に生徒を連れていく。生徒にとって、最初に見た大学の印象は強いものである。

また最近では、先輩の受験勉強体験談などを聞く機会を設けている学校は少なくない。中学校の時点で、高校3年生のトップ層の生徒の話を聞けば、憧れとともに自身の志を高めていく方向に進むのは容易に想像できる。

現段階でも、進路指導が奏功している公立中高一貫校は多いが、今後さらに有利になっていくのではないかと予測されている。理由は3つだ。

1つ目は「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」第1期の受検をする現在の中学校3年生に、今から働きかけができる。一般の中学校では、大学入試まで見据えた指導をするのは、なかなか難しいだろう。

2つ目は、思考力・判断力・表現力を問う入試への対応力を鍛えられる点だ。こうした問題への対応力は、課題研究にじっくり注力できる学校などは養いやすいといわれている。

また増え続ける推薦入試枠においても有利だ。実際に現時点でも、東大の推薦入試では、課題研究をじっくり深めてきた生徒が合格しているケースが見られる。

3つ目は、6年間を通して「生徒の適性」を見極められる点である。新制度になったからといって、これまでの学力観が受験から一掃されるとは考えにくい。

おそらく、個別学力試験などにおいては、従来型の問題が多い大学と新たな傾向の問題を多く盛り込む大学とでバラツキが生じるはずである。

そうした状況下では、生徒の適性を見極めた進路指導が生きてくる。6年間かけられれば、課題研究活動への姿勢や模試などで生徒の学力傾向を十分につかみ、進路の打ち手を考えることができる。

大学入試改革をどうむかえ撃つか。これから目が離せない。