【連載】教育の連続性を考える 公立中高一貫校の現場から 第7回 生徒に未来デザイン力育む

教育ライター 佐藤 智

「社会に開かれた教育課程」のスローガンの下、中教審では新学習指導要領の検討が進められてきた。いうまでもないが、人工知能の進化等により、これから社会は一層予測がつかない。そうした社会を迎えるにあたっては、高大接続システム改革会議も伝えている通り、一方向的な教育活動ではなく、授業内外で「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」が求められる。

一方で、現在、学校外の人と触れ合う機会は、進路講演会など一方向的なものに限られる。

今後は、「答えのない問い」に対して、対話的に価値観を交換していく取り組みを学校とともにつくれる学校外人材が求められると私は考えている。

公立中高一貫校の中には、6年間というスケールメリットを生かし、先駆けてこうした取り組みを行っている学校が出始めている。長崎県立諫早高校・附属中学校や熊本県立八代高校・八代中学校は、「三四郎の学校」という非営利の任意団体と活動を試行している。「三四郎の学校」は、福岡県みやこ町に拠点を置き〝対話の場〟を提供してきたが、近年では学校と連携し、講演と対話をセットにした取り組みを生み出す活動も実施している。

一例を挙げればグローバル人材の講演の後、「10年後、世界を今より少しでも幸せにするために、私たちには何ができるか」という抽象度の高いテーマで対話させ、「自分がどう社会に関わっていきたいのか」や「対話した他者と考え方がなぜ違うのか」などを、生徒に掘り下げさせていく。創造的な対話を経て、進路を考える参考にする生徒も少なくない。

またこの活動を体験した生徒たちが自ら運営に乗り出し、取り組みが自走し始めている点も特筆すべきだろう。

これからの社会では、「未来をデザインする力」が重要であると私は思う。逆にいうと、デザインさえできれば達成できる時代が到来する。

一人で描く未来は個人の限界を超えることはできないが、多様な価値観を持つ他者と対話を経ることで、自分の描く未来を超えていくことができる。学校という一元化されがちな組織の外に目を向けて、タッグを組み、共に子供を育むことで生徒の無限のデザイン力を感じてみてはどうか。

学校の役割は、これまでもこれからも大きい。だからこそ、学校外人材を生徒と社会をつなぐ架け橋として活用する道は有効だと考える。

(おわり)

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