【連載】プログラミング学習からつくる未来への教育 第1回 将来どのように役立つのか

デジタルハリウッド大学 学長 杉山知之

子供たちには、プログラミングができるようになると「将来どのような良いことがあるの?」という問いがあるはずだ。子供たちに、それをわかってもらうのは意外と大変かもしれない。今回から7回、ぼくがコンピュータとともに過ごした50年余の経験から、プログラミング学習について思うことを、勝手きままに書かせていただきたいと思う。

さて今や、世の中のさまざまな仕組みを動かしているのは、ほぼコンピュータになってしまった。日々、あらゆる事象が数値化され、データとなり、コンピュータに注ぎ込まれる。そこで、さまざまな処理や手続きが行われ、その結果が吐き出され、私たちの日常生活を支えている。

今や日本のサラリーマンたちは、ほぼ1日中、パソコンの前に座って仕事をしている。産業界は異なっても、中心となる仕事は、それぞれのビジネスを回すためのコンピュータシステムを発想し、そのシステムを作り、日々、問題なく動かすことだ。

人の労働もコンピュータが中心となるシステムの一部に組み込まれているといっても過言ではないだろう。コンピュータについての理解と、それを動かすためのプログラミングは、社会人にとって必要不可欠のものとなりつつあるのである。そのことは、20世紀までは、コンピュータとまったく無縁であると信じられてきたあらゆる産業に及んでいる。

人間は、必要に応じて、さまざまな道具を発明してきた。今、そのすべての道具にコンピュータが搭載され、インターネットにつながろうとしている。

そのインターネットの向こう側には、想像を絶する規模のコンピュータが無数につながっている。クラウドと呼ばれるものだ。そこには高度に発展しつつある人工知能たちが住み始めている。

子供たちが大人になるとき、仕事も含めて、あらゆる日常生活が、人工知能によって支えられた道具たちによって動かされ、その環境の中で、人生を送っていくことになる。今の大人の想像を超える世界だ。

もし未来を生きる子供たちが、プログラミングを知らなければ、起きていることのすべてが、ただただ魔法のように思えてしまう世界となる。

魔法に翻弄されて生きるのか、魔法を見破って、たまには魔法を作って人生をエンジョイするのか。

ぼくは、できれば、すべての子供たちが未来を創る魔法使いになるのを願っているのである。