【連載】校長のパフォーマンス 第74回 企業の経営と学校経営

教育創造研究センター所長 髙階玲治

中教審の次期教育課程などの論議を広く考えると、学校経営の在り方に転換が必要ではないかと思えることがある。その一つの方法として学校経営に企業の考え方を導入してはどうか、ということがある。

学校経営と企業経営はかなり異質で、共通項が少ないのは確かであるが、企業の視点から学校をみると、かなりの点で改善・改革が必要と思えるであろう。ただし、企業の論理が学校にそのまま当てはまるということではない。

例えば、企業はその製品などを通して社会や人々を豊かにするという理念を持っているが、絶対的に必要なのは「儲ける力」である。儲けなければ企業は存続しなくなる。

例えば、ユニクロで有名なファーストリテイリングの柳井正社長は、経営者とは「成果を上げる人」だと一言で言っている。つまり、校長は経営者であるなら、「成果をあげる」べき存在である。

しかし、学校の目的はまるで違う。学校は子供を「教え育てる」場であり、儲けなくとも公立学校がつぶれることはない。企業はお客が多く集まってくれなければ商売が成り立たないが、学校は努力しなくても子供が毎日通ってくれる。したがって、組織のトップの意識は企業とは全く異なる。

実のところ、学校教育の成果はどうあればよいか、曖昧に考えられている。学校の教育目標をみても、成果を示す文言が欠落している。さらに、授業の「めあて」など無数にあって、検証している余裕はない。それでいて学校や教師は、学習指導の成果、生徒指導の成果などを求める。その成果は他者に説明不可能なほど明確化は難しい。

そこで、企業が活用する経営理論を学びたいが、ただしそれも十分でないようだ。単純に考えてもわかることだが、もしも企業経営で「こうすれば儲ける」という絶対的な理論があるなら、赤字を出す企業も、つぶれる企業もないことになる。

そこで、つぶれないための企業努力(企業効果)が必死に模索される。結果として成果が上がったとき、そこに企業の成功へのヒミツが解き明かされる。その企業効果がどのようであったかを学ぶことは学校経営にとっても大きな意味がある。実はこれまで経営論は抽象的で現実に即していなかったという。そこで企業もまた最近「役に立つ」経営理論を求め始めているという。

これまで学校は学習指導要領順守型で経営を考えることが多かった。しかし、次期教育課程が革新性を持つとすれば、単純な順守型では間に合わないであろう。教育成果を上げる学校の在り方として、経営方略をどう創り上げるか、そこに新たな経営手腕が必要になる。学校もまた、どのように成果を上げるか、それが求められるようになるであろう。

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