【連載】プログラミング学習からつくる未来への教育 第2回 子供のためのコンピュータ

デジタルハリウッド大学 学長 杉山知之

アラン・ケイ自筆のイラスト=A Personal Computer for Children of All Ages:Alan C. Kay /Xerox Palo Alto Research Center
アラン・ケイ自筆のイラスト=A Personal Computer for Children of All Ages:Alan C. Kay /Xerox Palo Alto Research Center

子供のためのコンピュータを作るアイデアは、1973年には、すでに具体的な形になっていた。

1970年、ゼロックス社が米国西海岸パラアルトに新たに作った研究所は、すべてのオフィスにコンピュータがやってくる近未来を想定して、ゼロックスの複写機のように、すべてのオフィスで活躍するコンピュータを作ろうという試みだった。

新たな研究所には、全米から気鋭の研究者と技術者が集まっていく。

しかし、そこで密かに行われていたのは、後にパソコンの父と言われるアラン・ケイによる子供のためのコンピュータ開発という研究プロジェクトだった。

ケイは会社に内緒で、開発中のALTOと名付けられたコンピュータシステムを研究所の近くの小学校に持ち出し、そこで子供たちにコンピュータを使わせてみていたのだ。

その彼が1972年の論文に載せた筆のイラスト。後にこのアイデアは1968年に思いついたと本人から聴いたものだ。

このイラストは、「今、この生徒2人は、自分たちが作りたい宇宙戦争ゲームを協力しあって作っているところで、それを作るために必要となる数学と科学を自然に学習してしまっているところ」と言うのだ。80年代にこの論文を読んだぼくは、非常に感銘を受けた。

これこそ学校におけるコンピュータの利用法ではないかと!

90年代、ついに日本でも小・中学校にパソコンの導入が始まったが、アラン・ケイが著したような使い方は、ほとんど普及しなかった。

多くの学校で、パソコンの基本的な使い方や、オフィスで使われているワープロや表計算やプレゼンツールなどの使い方を教えるのがメインの授業になってしまったからだ。

いよいよ日本でプログラミング学習が学校に取り入れられるようになった。この機にアラン・ケイが示した方向をぜひ進めてもらいたいと思う。