【連載】対話 そして 未来へ SCとして子供と寄り添う 3 子供と環境との相互作用で

大阪教育大学教授 家近早苗

学校生活を送るとき子供は、学校やクラスの雰囲気、教師の子供への接し方などの影響を受けています。子供への支援には、子供個人だけでなく子供の周りの環境にも注目して情報を集めます。

◆いつでもどこでも同じとは限らないのは当たり前

Aくんは落ち着きがなく、授業中に絵を描いていたり、出歩いたりして、授業には参加していません。それを見た周囲の友達はAくんに、「やめたほうがよい」と注意しましたが、Aくんは無視していました。担任教師はこのような状況を何とかしたいと思い、保護者の話を聞くと、家ではとてもおとなしく、特に落ち着きがないなどと感じた経験はないとのことでした。

子供にとって、学校にはたくさんの刺激があり、刺激のない家庭での生活では、学校と同じような反応が起こらないのは当然です。このような違いは悪いことではなく、むしろ、子供への関わり方のヒントを示してくれるものなのです。

◆マッチング

また子供を見るときに欠かせないのが、子供の環境の一部である教師と子供との関係性です。教師は、気づかないうちに、子供に一定の行動を求めています。例えば、授業中には「座っていること」「おしゃべりをしないこと」「教師の質問に答えること」などです。これは学校生活を送る上で必要とされる基本的な事柄ですので、たいていの子供はすぐに理解して教師の要請に応えます。しかし、これが苦手な子供もいます。

このような状況を子供の問題であるととらえて接するか、教師の指示のほうに問題があるのかもしれないと考えて接するのかでは、子供の行動が大きく変わります。教師が「自分の要請行動と子供の理解や行動」のマッチング(近藤邦夫著『教師と子供の関係づくり―学校の臨床心理学』東京大学出版会)を意識し、子供との良い相互作用を起こすように行動すると、子供の問題は少なくなります。

◆少しだけ見方を変えてみる

相互作用という見方をすると、子供が「問題児」なのではなく、問題状況にいるのだと理解できるようになります。また問題が起こっている場面だけでなく、それ以前から子供を見ていると、問題を引き起こす原因がわかる場合もあります。突然「キレる」子供のそばには、小さな声でからかう子供がいる状況も少なくありません。教師が、広い視野で子供の問題をみることは、子供にとっては心強いサポートになります。

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