【連載】プログラミング学習からつくる未来への教育 第5回 実世界を取り入れつなげる

eye-catch_1024-768_sugiyamaデジタルハリウッド大学 学長 杉山知之

人間が使っているすべての道具に小さなコンピュータが搭載され、そのすべてがインターネットにつながりっぱなしになっているという世界が始まった。IoT(Internet of Things)という言葉で、世の中に広まっているものだ。子供たちのプログラミングの世界にも、この方向は入れていかなければならない。

プログラミングを、パソコンとその画面の中での動きで終わらせてはいけないのである。

子供たちに馴染みのある実世界での現象を、ぜひ取り入れてみたい。

たとえば光の明るさ、風の強さ、表面の色、モノの傾き、モノとの接触などなど、簡単なセンサーとちょっとした回路で数値化し、データとしてパソコンに読み取れるはずだ。

生徒たちは、実世界の現象が数値化され、それをプログラミングで利用できるのを知れば、自ずとさまざまなアイデアを思いつくに違いない。

今、起きていることが数値化され、プログラムでコンピュータに数値として読み込まれていく様を体験させたい。それを使って何を表現しようかと、さまざまな発想が広がっていくはずだ。

こういう種類のプログラミングの体験を気軽に行うなら、イギリスで学校教育用に開発された小さなシングルボードコンピュータ「ラズベリーパイ」などを使うのもお薦めだ。このシングルボードコンピュータについては、IoTの普及に向けて、さまざまなものが市場に出ているので、いろいろ比べていただきたいところだ。

またちょっと値段は高いがLEGO社から発売されている、MINDSTORMSの学校教育用シリーズを使うのも良いだろう。LEGOで制作したロボットを、プログラミングで動かすことができる。発売からほぼ20年にもなる。MINDSTORMSによる黒い線で描かれた道を踏み外さないように進んでいくロボットカー制作と、そのプログラミングは定番中の定番だろう。

このようなプログラミングの中で、生徒たちは、IoTという世界の感覚を十分に作りあげることができるはずだ。

彼らが大人になるときには、家電はすべてネットにつながり、家ではさまざまなサービスロボットが働き、自動運転の自動車と、人間が運転する自動車が混在して走る生活になっているだろう。

高度なプログラムによって動いているモノと、人間が五感で感じて動かすモノ、この大きく異る世界を架橋する人材を育てるためにも、プログラミング学習は役立つのである。