【連載】プログラミング学習からつくる未来への教育 第6回 グループ制作のジレンマ

eye-catch_1024-768_sugiyamaデジタルハリウッド大学 学長 杉山知之

プログラミング学習をクラスで進めていくと、最終的には、作品を作ろうということになるだろう。しかし、生徒一人ひとりが、それぞれプログラミングをして作品を提出するとなると、これはかなりハードルが高いと感じる教師も多いはずだ。

そこでよく行われるのがグループ制作だ。何を作ろうかというお題は、生徒たちが熱意を持って取り組んでくれるという理由で、ゲームを作ってみようということも多く行われるだろう。

また動く絵本のような物語を作ってみたいということも、子供たちからの要望としてよく出てくる。これはデジタル絵本と呼ばれる分野でもある。

このような作品作りでは、生徒たちの中で自ずと役割分担が進んでいく。全体の企画やストーリーづくりが得意な子、キャラクターデザインが得意で絵を描く子、声優をやったり効果音をつけたりする子、音楽を担当する子。そしてプログラミングの担当だ。

プログラミングは、グループの中で一番、プログラミングが得意な生徒が担当することになる。クラスの生徒たちの特性をよく知る教師であれば、グループを作るときに、役割分担を想定して班分けをすることになるだろう。

ただし、このようなグループ分けをするとクラス全体の中で、最終的にプログラミングに長けた生徒がグループの数だけしか育てられなかったという結果にもなりかねない。

そもそもアプリやサービスとなって実社会で使われている製品は、それぞれ役割分担されたプロたちがチームとなり、共同して開発をしているので、グループ制作はそのことのシミュレーションには十分なっている。これは良いことだ。

ただ生徒全員にある程度、プログラミングをマスターしてもらいたいという目標とは、結果が少しずれるかもしれないのである。これがプログラミング実習のジレンマになるだろう。

さて、そのグループ作品の評価にも気をつけなければならない。動いたプログラム作品の何を評価するのかということだ。イラストの美しさやストーリーの楽しさ、ゲームの戦いの迫力、そういうことに教師も心を動かされるだろう。作品発表のプレゼンとなれば、プレゼンテーションが上手なチームには良い点数がつきそうだ。すべての要素が評価に値する。

しかし、これはプログラミング学習なのである。評価には工夫が必要になる。そこは教師の腕の見せどころだと思うのである。

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