【連載】対話 そして 未来へ SCとして子供と寄り添う 6 保護者の思いへの理解と協力

eye-catch_1024-768_iechika大阪教育大学教授 家近早苗

教師に対する保護者からの要望はさまざまです。例えば、給食の時間に、教師は「好き嫌いをしないで残さず食べましょう」と指導します。すると、「うちの子は、家でも生野菜は食べませんので、認めてください」「うちの子は、肉は好きですが、魚は嫌いなので、メニューの工夫をしてもらえないでしょうか」などの要望が出されます。このような保護者からの要望と教師の指導とのずれは、どのように捉えればよいのでしょうか。

◆保護者の不安や心配を理解する

保護者のこのような要望には、保護者自身の不安や心配が隠れているときがあります。特に、入学したばかりの子供の保護者は、友達ができるだろうか、勉強についていけているだろうかなどの不安を持っている場合が少なくありません。

教師であれば当たり前に分かることでも、保護者の心配事になります。そして、学校で自分の子供が元気にしていてほしいと思っています。

このような保護者一人ひとりの思いを、まずは受け止めることが大切です。

◆「過保護だったって気付きました」

この言葉は、私のところに相談に来ていた母親の言葉です。この母親は、子供が大切なあまり、子供が困らないように先回りをしてなんでもやってあげていました。私は母親に、「そうですね」と返し、2人で笑いました。

いわゆる過保護というのは、大人が子供の手や足の代わりになってしまう行為や態度だといえます。このように育った子供は、自分の思い通りにならないことを人のせいにする傾向が出てきます。また過干渉は大人が子供の代わりに脳みそになることです。自分の頭で考えない子供は、何かを決めることができにくくなります。

しかし、このような保護者の行動の裏には子供への愛情があるのを忘れてはいけないと思います。先ほどの例の母親もわが子をとても大切に思い、かわいいと思っています。だからこそ子供が自分の知らないところで大変な思いをしていないかが心配なのです。

◆自分でできることと助けてもらってできること

子供が新しいことや自分の課題にチャレンジするときには、子供が一人で取り組み、自分だけの力で達成できることと、教師や保護者など、周囲にいる大人が少し手助けしてできるようになることがあります(ヴィゴツキー著『「発達の最近接領域」の理論』三学出版)。

教師も保護者も、子供の潜在的な力を伸ばすのを意識して協力することが大切です。