【連載】対話 そして 未来へ SCとして子供と寄り添う 7 将来何になりたいかを聴く

eye-catch_1024-768_iechika大阪教育大学教授 家近早苗

◆夢は成長する

小学校1年生のAくんは、「大きくなったら、お医者さんになって、プロ野球の選手もするんだ」と言っていましたが、4年生になる頃には、「お医者さんか、プロ野球の選手」に変わりました。宇宙が大好きなBくんは、小学校3年生までは宇宙関係の研究者になりたいと言っていましたが、その後は、微生物に興味を持つようになって、宇宙のことはすっかり言わなくなりました。そして高学年になるとBくんの夢は、会社を創って社長になることに変わりました。

こんなふうに変わっていく子供の夢は、とてもほほ笑ましく、いつかかなうと思えるのです。

◆意味が分かると頑張れる

イギリスで非行少年を対象とした職業訓練を行っているボケーショナルセンターを訪問したときのことです。子供たちは教室でレンガを組み立てたり、内装の練習をしたりしていました。指導している先生の話では、これまでに勉強をしなかった子供が、このような作業を通してはじめて、計算や、長さ、重さの単位を知る大切さを理解し、数学の勉強を始めるということでした。

以前に勤務していた児童自立支援施設でも、就職を考え始めた子供が、履歴書を自分で書きたいと言い出して、漢字の練習を始めた経験があります。勉強が大嫌いだった子供の変化に驚きました。

自分の将来を具体的に考えられる。それは、勉強をしたいという意欲にもつながる。そういうことなのです。

◆夢の具体化を支える

夢は自分の中で持っているもので、簡単に他人に教えるものではないでしょう。また簡単に尋ねることではないのかもしれません。ただ、夢を持ち、それを言葉にするのは、夢をかなえる第一歩でもあると思います。

教室に行けなかった高校生のA子は、面接のときに「大きくなったら何になりたいの」と尋ねると、「薬剤師か調理師か栄養士」と答えました。そしてその後は、大学に進学し、本当に栄養士になりました。A子が卒業するとき、「今でも学校は嫌い。でも学校に行かないと、なりたい自分になれない」と言いました。

夢はどの子供の中にもあるはずです。それを具体的に実現できるようにするために、保護者や先生方が子供の夢を支えてくれることに期待して、結びとします。

(おわり)