【連載】クオリティ・スクールを目指す 第103回 オープン・イノベーションの実際

eye-catch_1024-768_takashina-school教育創造研究センター所長 髙階玲治

革新的な教育実現のために

近未来を考えると、AIやIoTの導入など、学校の能力を超えた革新的な教育実現が予想される。目下の教育実現にしても、例えばICT教育など、学校として豊かに展開したいと考えるであろう。

しかし、教員等の力量や学校設備などを考えると、現状としては手が届かないという問題がある。それを教委が中心になって進めようにも、教育を先導できるリーダーが存在しない。どうすればよいか。

ベネッセの『VIEW 21』(2017年Vol.1教委版)に「産学官連携によるICTの活用により、すべての子どもに良質な学びを提供」という論考が載っている。

それによると岡山県備前市(小学校10校、中学校5校)は、岡山大学大学院とベネッセと組んで、学力向上のためにタブレットを活用した家庭学習システムを構築しているという。

三者の連携は次のとおりである。

[教委と大学]

教委は、(1)大学コーチのインターシップの受け入れ(2)子供の変容に関わるデータの提供

大学は、(1)専門的見地からのアドバイス(2)大学生コーチの派遣

[教委とベネッセ]

教委は、(1)教材の採択(2)教材の活用に関わるデータの蓄積

ベネッセは、(1)教材の提供、開発サポート(2)大学生コーチの選抜・管理、データの提供

[大学とベネッセ]

大学は、(1)大学生コーチの派遣(2)専門的見地からのアドバイス

ベネッセは、(1)データの提供

市教委は、学校との間で合意を図りながら、施策を実施している。それにより、▽教員が自主的にICTを活用した授業を実践するなど、意識が向上した▽前向きに学習に取り組む子供たちが増加した▽平成28年末に実施した市の学力調査では、年度当初よりも学力が向上した――などの成果がみられるという。

また備前市は学力向上のみでなく、「備前まなび塾+」という学習支援を行ったり、最近は野外活動や自然観察、イングリッシュキャンプなどの体験活動も実施している。

このような産学官連携は、教委が地元の大学や専門機関などと協働しながら豊かな教育実現を盛り上げる、極めて有効な方策であろう。

企業では最近、大学研究室や他の企業とで共同開発を行う例が多くなっているが、それをオープン・イノベーションと言っている。備前市の試みはその教育版であろう。

最近、特に感じることは、次期教育課程を考えるとき、その革新性に従来型の学校は多くの面でついていけないのではないか、という危惧である。

これからの教育は、複雑化し困難度を増すことは確かであって、それを乗り越えるための新たな対応策を考える必要がある。その一つがオープン・イノベーションではないか。備前市の取り組みを参考にしたいと考える。