【連載】変わる学校、変わらない学校 学校マネジメント論(2) 3視点で学校の特色具体的に

eye-catch_1024-768_senoo10教育研究家/学校マネジメントコンサルタント 妹尾昌俊

前回は、変わる学校と変わらない学校の違いとして、(1)到達目標(2)プロセス(3)チーム・ネットワークの3点が重要だと述べた。

到達目標は、学校のビジョンと言い換えてもよいが、抽象度が高過ぎてはあまり意味がない。

どこの学校も「知、徳、体を育てる」とか、「目指す子ども像は明るく、元気で素直な子」「生きる力と基礎学力を育む」といった文言が学校目標等に並ぶが、これでは当たり前過ぎてメッセージ性がない。

「うちは、学習塾とは違いますよ」と言っているだけ、というと言い過ぎかもしれないが、あなたの学校のビジョンが、教職員に、保護者に、地域に、どれほどのメッセージ性があるか、伝えたいことが本当に伝わっているか、一歩引いて考えてみてほしい。

本校の6年間なり3年間なりで、さらにいえば、小中一貫の9年間なりで、子供たちのどのような力(資質・能力)を伸ばしたいのか。

そのために、学校の重点的な課題はどこにあるのか。学校や地域のよさや資源を生かして、どんなことを達成したいのか。これらを、なるべく具体的に、教職員間で議論していけるとよい。

(1)(2)(3)の好例の1つを紹介しよう。

ある中学校では、正解のない問いを考え続ける力を向上させたいというビジョンをもっている。これは高校受験だけを意識したのでは出てこない。むしろ中学校や高校の卒業後も続く力を付けたいとの発想だ。

その実現に向けて、朝読書の時間や総合の時間を活用して、全校生徒で同じ本を読み、クラス単位ならびに全校で、感想などを含めて対話・討論する場を設けた。

通常の国語の「〇〇の心情として、適切なものを選べ」といった正解を求めるものではなく、多様な考えを奨励する。

例えば『走れメロス』であれば、「なぜメロスは走り続けることができたのか」や「王様の視点に立つとどう思うか」といった問いについて考える。

ある生徒は、時代背景を踏まえて王様の視点に立つと、人に対して疑い深くなるのも当然ではないか、といった感想を述べた。

通常の読書や学習では、なかなか出てこないアイデアだ。

また「ほんもの」と出会うことで、考えを広げ、深めることを重視し、時には本の作者や翻訳者を招いた対話も行う。

まさに(1)(2)(3)をうまくつなげている学校づくりといえよう。