【連載】Joy of Learning 世界の超最先端事例 1 ゲームを通して楽しく学ぶ

eye-catch_1024-768_komiyamaリクルート次世代教育研究院 院長 小宮山 利惠子

5月、フィンランド外務省等の招待で、フィンランドの教育現場を訪れる機会があった。同国では、昨年夏に小・中学校を対象とした新しいコア・カリキュラム(日本の学習指導要領)が導入された。

そのコンセプトの1つに据えられているのは“Joy of Learning(学ぶ楽しさ)”だ。約1週間の日程で幼稚園から大学、教育省等を視察したが、行く先々で必ず触れた言葉があった。それは「ゲーム」だ。

「継続教育」という、教員が学び続けるプログラムがヘルシンキ大学にある。そこでは、“Kahoot!”というクイズ形式のアプリを授業で扱う方法について教えていた。たとえば、小学校低学年のクラスで「フィンランドの首都はどこか?」という問いに対し、iPad上でグループごとに回答やその速さを競うというものだ。

また、フィンランド全土で利用されている“KiVa school”という、いじめ対策についてのプログラムの中には、ゲームを用いていじめとは何かを周知させる内容が含まれている。

また“Seppo”というGPSを利用した地図アプリを使う学校もある。そのコンセプトは“Sitting is new smoking”。座っていることは新しい喫煙だということで、いかに子供たちの体を動かすかに力点が置かれている。

たとえば、教員が地図上のある地点で「ここにある銅像を写真撮影し投稿せよ」と問題を出し、子供たちがグループとなってその場に行き、iPadで写真を撮影して提出する。それを何カ所か完了することで点数が貯まるという、ゲームの要素を取り入れている。

小学校の授業をのぞいてみると、小学校2年生のクラスでは算数の時間に“Robogem”というボードゲームでプログラミングを学び、5年生のクラスでは“quizlet.com”というアプリを使ってゲーム感覚で英語を学んでいた。学ぶ楽しさを知ってもらうこと、その学びを継続すること。それを可能にする1つのツールとして、ゲームが教育領域において大変な支持を得ているのだ。

日本ではゲームというとネガティブなイメージがある。しかし、フィンランドでは学校現場の教員から、行政トップのサンニ・グラーン=ラーソネン教育大臣まで、口を揃えてゲームの教育利用を説く。日本の教育現場においても、ゲームの効用について、もっと議論する余地があるのではないか。

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小宮山利恵子院長=昭和52年東京都生まれ。早稲田大学大学院修了。特別職国家公務員等を経て、平成27年12月から現職。