【連載】変わる学校、変わらない学校ー学校マネジメント論(3) ビジョンもどきはやめよう

eye-catch_1024-768_senoo10教育研究家/学校マネジメントコンサルタント 妹尾 昌俊

前回は、(1)到達目標(2)プロセス(3)チーム・ネットワークの3点をつなげた学校運営の必要性と好事例を紹介した。

では、早速あなたの学校のビジョンや経営計画を読み返してみてほしい(勤務校がない人は、よく知っている学校のウェブページにたいがい載っている)。少なくとも、次の3点に注目してほしいと思う。

(1)当たり前のことだけを書いて満足していないか。当たり前のことを書く背景、意図を説明しているか。

前回説明したように、お化粧を取ると、「うちは塾ではありません」と言っているだけのビジョンでは寂しいかぎり。

文言や表現は少々当たり前であってもよいのだが、なぜそのことが重要だと思うのかの背景や思いを、校長などはしっかり説明できているだろうか。

(2)抽象的な概念やキーワードでごまかしていないか。

「きめ細かな○○」「○○の充実」などの文言は、たびたび学校の計画や教職員への校長訓示に登場する。

具体的な内容が踏み込んで考えられていないために、漠然とした表現でまとめられているのである。

また「アクティブ・ラーニング」「地域協働」などのはやり言葉も、同様の理由で要注意だ。

実は、企業経営でも似た話はよくあるようで、経営学のある教授は「空疎な戦略とは、分かりきっていることを、ふんだんな専門用語や業界用語で煙に巻くような戦略を意味する」と警告している(『良い戦略、悪い戦略』)。

(3)これまでの取り組みの反省点を生かした計画になっているか。

(1)と(2)で述べたように、ありふれた、あるいは抽象的なビジョンとなってしまうのは、なぜだろうか。

ひとつには、現状の分析、診断や、これまでの反省が、しっかりできていないからだ。

前の校長のことをとやかく言うのははばかられるといった思考が働き、結局、当たり障りのないものとなってしまう。

また重点課題や優先的な取り組みを明確にすればするほど、反対意見は出てきやすい。

それゆえに、無難なビジョンもどきが、全国各地の学校で壁に掲げられては忘れ去られている。

そうした事情は理解できるが、今のままでいいのだろうか。

せっかくなら、腹落ちする魂のこもったビジョンを共有しようではないか。

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