【連載】Joy of Learning 世界の超最先端事例 2 テストがない高校が問うもの

eye-catch_1024-768_komiyamaリクルート次世代教育研究院 院長 小宮山 利惠子

米国では今、さまざまなカリキュラムや形式を持つ学校が出てきている。Googleの元社員が設立した習熟度別の個別学習を推進する“Alt School”や、世界7都市にあるキャンパスを巡りながら学ぶ全寮制4年制大学の“Minerva University”など、枚挙にいとまがない。

その中で、特に注目したい学校がある。カリフォルニア州サンディエゴの公立高校“High Tech High”である。

同校にはテストが存在しない。その代わりに、文化祭で子供たちを評価する。子供たち同士でグループを作って、あるグループは工作をしたり、また他のグループは演劇を行ったりと多種多様だ。子供たちが自身の興味に基づいて能動的に活動するという意味では、Project-Based Learningの要素を包含している。

しかし、テストがないと、教員も親も「子供たちの関心に沿ったことはできるだろうが、進学できるのだろうか」と心配になるかもしれない。

だが、同校の96%の卒業生が大学に進学し(うち66%が4年制大学)、86%の卒業生は大学に在学中か卒業している(米国平均59%)。また35%の卒業生は、初めて大学に入学できた世代。63%は有色人種で占められ、42%がランチ補助を受けている。

ランチ補助を受けているとは、就学援助を受けているということである。約4割が経済的に困難を抱える家庭だというのを意味している。

その子供たちが、テストのない環境で大学に進学している。同校の詳細については“Most Likely to Succeed”という映画で詳細に知ることができる。

ここで考えさせられるのが、今後、テストの存在をどう考えればよいかということだ。

テストには本来的に2つの側面があると考えている。子供たち自身が自らの理解度を把握するのと、教員が授業中に教えた内容がどの程度、子供たちに伝わっているかだ。

今日、テクノロジーが発展し、過去にはできなかったような個別の習熟度別学習が「スタディサプリ」などのアプリを用いて可能になっている。子供たちが自分たち自身で、どのくらい理解しているかを把握できるということだ。

そうなると、テストは実は、教員のためのものということになる。果たしてそのようなテストは必要なのか。テクノロジーにより社会が急速に大きな変化を遂げている今、私たちの中にある「常識」を常に疑うことが求められている。