【連載】変わる学校、変わらない学校 学校マネジメント論 (5)

eye-catch_1024-768_senoo10教育研究家/学校マネジメントコンサルタント 妹尾昌俊

多忙化対策と課題の重点化

前回、課題の重点化について、生徒指導困難校では、頭髪指導などの対症療法的な取り組みではいけないと述べた。

真に対応が必要な課題が見えてくると、取り組み、施策も立案しやすい。この学校の場合、「授業についていけない子が多い」を重点課題として注目しているのであれば、行事にあれこれと力を入れるよりは、補習(学び直し活動)を行うほうがよいだろう。

ただし、補習を教員が担ったのでは、多忙が加速してしまう。NPOや地域の方と組んで行っていくことが、優先度の高い施策といえる。

このように、課題あるいはビジョンが明確に定まると、やるべきことの必要性や優先度を考えやすくなるし、逆に優先度の低いもの、つまり「劣後順位」を考えやすくなるのだ。

今、学校現場は小・中・高校とも長時間労働が蔓延している。過労死ラインを超えて働く人は多いし、実際、過労死や自殺に至る人も毎年のように出ている。

多忙化の背景には、さまざまなものがある。学習指導要領等で学習内容が増えたり、「〇〇教育」が次々と加わってきたことなども一つの背景だ。

だが、学校現場が自ら仕事を増やしている側面、あるいは減らす努力が足りない側面があるのも、確かではないだろうか。

実は、多忙化対策で、私が最も重視している1つが、課題とビジョンの重点化なのだ。

なぜか。業務や行事をやめる、減らす、統合することをもっと進めないと、多忙は改善しない。だが、学校は、そうした点を選択する基準や視点を持ち合わせていないのだ。「子供のためになるから」というマジックワードでは、何でも大事なことに見え、教職員の仕事は減らない。

数少ない選択する基準、視点が、重点課題とビジョンだ。例えば、ある中学校は、2年生の校外学習をやめることにした。教員は12月の成績処理などで大変忙しい中で、入念な下見などあれこれ準備していた。

3年生になれば修学旅行もあるのだし、2年生でそこに時間と労力をかけるよりは、本校の重点であるキャリア教育のほうに力を入れようと、校長は教職員にも保護者にも呼びかけた。

このように、課題とビジョンに照らして、より重要なものは何か、少しくらい我慢していくことは何かを検討してほしい。授業研修が多い校内研修を1コマ、2コマつぶしても、こうした議論をする場が学校には必要だと思う。