協育で楽校に ― 社会に開かれ学校はこうなる(7)人とキャリアがつながる

eye-catch_1024-768_wakae(株)キャリアリンク代表取締役/第9期中教審初中教育分科会臨時委員 若江眞紀

こうして教育の未来が開く

連載第5回で、CSR(Corporate Social Responsibility)=「企業の社会的責任」の一環として取り組まれている教育CSRについて述べました。教育(人材育成)は、社会全体で共有、創出すべき重要な価値であり、これまでの企業の社会的責任という受動的な義務的位置づけから、企業の価値を向上させる能動的な価値創造の位置づけCSV(Creating Shared Value)=「共有価値の創造」へと移行しています。教育という社会課題の解決への取り組みにより、企業は経済的価値と社会的価値双方の創造につなげようとしているのです。

これを教育界に置き換えれば、学校教育は次代を生きる人材育成を使命とする受動的で保守的な関わりから、次代を担い、創造し続ける人材育成という新たな価値を創出する能動的で先進的な関わりへと転換しなくてはならない、となるでしょうか。

社会には解決しなければならない課題が山積しています。長時間労働問題などの働き方改革についても、ブラック企業といわれる産業界だけの課題ではなく、教員の長時間勤務も同様に早期に解決しなければならない重要な課題です。急激に変化する現在とこれからの社会では、産業界も教育界も解決しなければならない課題は共通化していて、だからこそ、双方の異なる視点やノウハウをつなぐことで相互の価値を効率的に効果的に増幅させるべきなのです。

欧米諸国の教員と比較すると、日本の教員が担っている役割は部活指導や生活指導などあまりにも多く、労働形態・時間の改善策は急務で、文部科学省が提示、推進しているコミュニティ・スクールや小中一貫教育、チーム学校や地域学校協働活動は、その解決のための方策であるはずなのです。

しかし、これまでの学校文化にはこれらを課題解決と結び付けて肯定的、能動的にマネジメントしようとする発想とノウハウがなかったことから、新たな施策やしくみに対して負担感や抵抗感が先立ち、客観的な思考・効率的な判断・効果的な表現(=実践)にまだまだ十分につなげられていないのが実情ではないでしょうか。

社会はますます多様化、複雑化するに違いありません。物事の本質を客観的、多面的に思考し、理解する資質・能力が今、私たちに強く求められています。子供たちにとっての多彩なロールモデルとなるために教員・保護者・地域・企業全ての人材は、未来の創造に向け、教育を核に学び続ける大人へと変革しなければなりません。

新学習指導要領のスタートは絶好のチャンスです。そのガイドラインとなるのが、学校教育を社会総がかりで行う「社会に開かれた教育課程」といえます。キャリアをつなげ、社会総がかりで教育という大切な価値を創出しましょう!

(おわり)