校長のパフォーマンス(76)子供は未来からの留学生

eye-catch_1024-768_takashina-performance教育創造研究センター所長 髙階玲治

今の子供は将来どう生きるであろうか。最近、にわかに未来に向けた教育が大きな関心を集めている。新学習指導要領も2030年を目指すとされる。

それは、2014年の中教審への文科大臣の諮問内容に示されている。その冒頭は「今の子供たちが社会で活躍する頃は、グローバル化や技術革新等によって、社会構造や雇用環境が大きく変わる」とされている。アメリカのデビットソン教授が「2011年度に小学校に入学した子供の65%は、今はない職業に就く」という提言が衝撃的に広まった。

最近のAIやIoTなどの動きは、近未来の社会を大きく変動させる要因になるのを、誰もが信じ始めている。自動運転車は2020年までに高速道路を走り始める。物流は飛躍的に変動する。また、今はない何かが出現し、生活が一層多彩になる。

それは社会構造や雇用環境の変化の序の口かもしれない。実は、今生まれる子供たちの多くは、22世紀までも生き続けるのである。その頃、社会はどう変わっているであろうか。

次期学習指導要領が、未来志向としての教育の在り方を提唱しているのは、現実化する社会変動を予測しているためである。

その基本の考えは、将来の社会の変動に対応できる強靱な資質・能力の形成を目指すことである。

子供は未来からの留学生である。未来を豊かに生きるために、現在の学校教育等でどのような確かな資質・能力を形成できるかが強く求められる。次期教育課程はそれを目指すが、十分可能といえるか。

ただ現状は厳しい。例えば、授業が分からない、教育費が間に合わないで高校中退する生徒が多い。またニートの4割は高学歴者だという。一方、やや明るい展望もある。実現可能かどうかは今後の政策によるが、幼児教育や高等教育などの無償化がいわれだしている。

さらに子供の貧困がやや改善され7人に1人となったが、幼児期の教育に、より投資するほうが将来的な財政負担が大きく減少するとの考え方は徐々に浸透している。

また、教育への財政改善とともに必要なのは、学力などの認知能力の形成と同時に「生き抜く力」などの将来的に重要な資質・能力になりうる非認知能力の形成である。学力偏重といわれてきたこれまでの学校教育を、未来に向けた子供の資質・能力の形成へと展望を変えるとき、頑張る力や忍耐力、コミュニケーション力、セルフ・コントロール力など、見えにくいが大切な非認知能力が重要な役割を持つのである。

「子供は未来からの留学生」とする、学校教育の在り方についての新たな視点の必要性は、教える側もまた未来志向を目指すことを意味している。

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