Joy of Learning 世界の超最先端事例(4)教育におけるAIの利活用

eye-catch_1024-768_komiyamaリクルート次世代教育研究院 院長 小宮山 利惠子

新聞やテレビで「AI(人工知能)」という言葉を見ない日はない。それもそのはずで、ガートナーの「先進テクノロジーのハイプ・サイクル」(いま技術が社会の中でどのくらい普及しているかを表す図)を見ると、AI関連の用語が社会で普及している状態の「過度な期待のピーク期」に位置付けられている。社会ではAIに関する情報がさまざまに出てきているが、教育領域ではどうか。

弊社では平成23年から、オンラインを用いた教育事業「スタディサプリ(旧受験サプリ)」を展開しており、約1千校の高校に利用いただき、約42万人の有料会員(昨年度累計)を有する。

当院では26年から、AI研究で著名な東京大学大学院の松尾豊准教授と「スタディサプリ」に蓄積された大量の学習ログを解析し、AIの手法の一つであるディープラーニング(深層学習)を採用して、学習者の「解けない」問題の予測についても共同研究を行っている。

調査では、小5算数で「解けない問題」全体の30.4%の問題を90%の精度で予測。小6算数では「解けない問題」全体の27.1%の問題を88%の精度で予測した。

調査を基に、小・中・高約20校を対象として、先生を介して生徒に苦手克服レコメンドを配布、効率的な学習(学び直し)を提案し、実証研究前後でレコメンド実施者の成績の大幅改善がみられた。

このことは、学習プロセス・時間の効率化だけではなく、学習者のモチベーションの維持や、効率的な学び直しの実現に大きく寄与するものと考えている。何より、分からないから学ぶのを止めてしまうのを、予防することが可能になる。特に、算数・数学や英語など、積み上げ型の学習が必要な教科に効果があると考えている。

ただ、ある教科が不得意だということは、あながち消極的な意味だけではない。つまり、基礎学力は重要なのだが、不得意科目があることを個性として捉え、基礎学力を土台として上に積み上がる能力には凹凸があってもよいという議論だ。ある子は美術が得意だが、物理が苦手。ある子は生物が得意だが、体育は苦手といった具合に。

前回の記事で記したように、社会はものすごいスピードで変化していく。テクノロジーによって突出した能力を持つ人が可視化され、活躍する時代がもうそこまで来ている。何が自分にとって得意なのか、それを理解し伸ばすことにも、テクノロジーの効用はあるだろう。

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