変わる学校、変わらない学校 学校マネジメント論(8)個人力と組織力の掛け算で

eye-catch_1024-768_senoo10教育研究家/学校マネジメントコンサルタント 妹尾昌俊

前回、教職員の間に、コミュニケーション不足に陥りやすい現状があるのを述べた。言い換ると、個人力で勝負している場合が多いのではないだろうか。

昔からいわれているように、学校の力は、個々の教職員の力と、チームとしての組織力の掛け算である。

つまり、学校づくりは団体戦なのだ。仮にいくら優秀な個人が集まっていても、課題やビジョンの共有が不十分で、バラバラの方向を向いて仕事をしたのでは、チームとして弱い。

ある興味深い研究がある。ニューヨーク市の公立小学校4、5年生の教師1千人以上、130校を調査し、算数の学力テストの点数の変化の要因を実証した。

最も到達度が高いのは、教師が算数を教えることを得意とし、かつ同僚との強い関係性を持つ場合だった。つまり、個人力と組織力が共に高い場合である。

逆に、算数を教えるのが苦手な教師で、かつ同僚との関係が弱い場合、最も点数が低かった。

注目すべきは、算数を教えるのが苦手な教師であっても、職場で関係性を有している場合、子供は平均的な到達度に行くことが分かった点だ。

“The Missing Link in School Reform”という短い英語論文がある。このタイトルが示す通り、これまでの学校改革では、教員個人の力を向上させることに注力してきたが、職場の関係性、「ソーシャルキャピタル」ともいわれる相互の信頼も欠かせない、という指摘をしている。

では、組織力、教職員間の関係性・ソーシャルキャピタルを高めるためには、何をしていけばよいだろうか。

ひとつは、意図的にちょっとしたコミュニケーションの場を増やし、互いの得意、不得意や好きなことなどを、よく知っていくことだろうと思う。

例えば、横浜市立富士見台小学校では、職員室のレイアウトを大きく変更し、動線を見直すとともに、雑談や相談ができる空間を確保した。

また校内研修の活性化も有効だろう。

ベネッセ教育総合研究所「第6回学習指導基本調査」によると、小学校では平成22年も28年も年間平均約20回、中学校は平均約10回校内研修を実施している。

授業研究やコンプライアンス研修ばかりにしないで、苦手なところを相談する場にしたり、学校改善に向けたアイデアを出すワークショップなどであったりしてもよいだろう。

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