Joy of Learning 世界の超最先端事例(5)経済的・地理的格差を改善

eye-catch_1024-768_komiyamaリクルート次世代教育研究院 院長 小宮山 利惠子

子供はさまざまな教育環境の課題に直面している。経済的・地理的格差が主なものだ。経済的な点でいえば、平均所得の半分未満で生活する子供の割合は13.9%で、7人に1人が相対的貧困に陥っている。

ひとり親世帯に限ると、それは50.8%にまで跳ね上がる(厚生労働省『平成28年国民生活基礎調査』)。昨年発表されたOECDの調査によれば、日本では公的予算における教育支出の割合が低くOECD平均以下。また日本の高等教育における授業料は、OECD加盟国の中で最も高い国の一つとなっているが、一方で高等教育に対する教育支出の51%(OECD平均21%)が家計負担によるものだ。

つまり、経済的に余裕のある世帯の子供には塾など学校外の学習機会があるが、そうではない子供は、そのような機会を得るのが難しい現状を示している。

学びたいという気持ちがあっても、高等教育への進学機会を得るのが難しい環境にある。ただ、テクノロジーが教育に導入され始めている中で、安価で良質な授業を受けられるようになっており、大学の授業でさえもオンラインで学べる時代になってきているのは、新たな希望だ。

また離島・中山間地域などの地理的な格差も存在する。島根県隠岐郡海士町にある県立隠岐島前高校。同校は約20年前から生徒数の減少が進み、一時期、廃校寸前にまで陥った。中学校までは同島で過ごす生徒も、高校からは塾のある本土に家族ごと移住してしまうケースが多かったためだ。

このような現状を山内道雄町長は懸念し、高校を魅力化するのが地域活性化につながると考え、その施策の一環として平成22年に公営塾「隠岐國学習センター」を設けた。同島に移住してきた人を中心として、生徒に「スタディサプリ」等のオンライン授業を利用した補習や進学指導を行った。今では東京と変わらない教育が受けられるだけでなく、過疎という課題先進地域から学べることも多いと、入学希望者が後を絶たない。

しかし、まだまだ海士町のような教育環境を提供できている離島・中山間地域は少ない。

テクノロジーによって、経済的・地理的格差の改善は今後さらに進み、教育の機会を享受できる子供たちは増えるはずだ。ただ、テクノロジーという良いツールがあっても、それを使える環境を整備しないと意味がない。通信環境が整備されるだけで、教室には大きなインパクトがもたらされるだろう。

関連記事