学習する組織 コーチングで変革へ (2)教員の役割は転換している

eye-catch_1024-768_honma京都造形芸術大学 副学長 本間正人


旧来の教員養成課程の中では、授業計画を立て、紙の教科書を使って授業を行い、ペーパーテストを用いて採点・評価を行う教科教育法のティーチングが、中核的な位置を占めてきた。

これからの学校の中でも、講義形式で一斉授業を行うこと(Teaching)が教師の役割から消えるわけではない。しかしながら、これは現在、急速にeラーニングに代替されている。

平成28年の春からすでに、大学受験生の半数以上がeラーニングを活用しており、今後、通信制高校などでも広まっていくのは確実だ。大手予備校などで活躍する百戦錬磨の有名講師が行う授業は、生徒の心を引き付けて離さない。日本全国の学校の教室で、これに匹敵する授業を行える教員の割合は、決して高くない。

他方、ビデオで配信される授業やeラーニング・プログラムは、マスを対象に設計されているので、学習速度の差には対応できても、児童生徒の個別のニーズにきめ細かく対応するのは難しい。LMS(ラーニング・マネジメント・システム)が発達して、精緻な誤答分析を行い、学習者がつまずいた箇所を補習するようなプログラムが進化していくのは確実だが、それでも、子供の心に寄り添うようなアプローチは極めて困難といえよう。

そんな時代に、教師が果たすべき役割は、ティーチングから、集団の中ではファシリテーティング(Facilitating)、個別の場面ではコーチング(Coaching)にシフトしていく必要がある。

つまり、学習者の主体的な学習を中心に据え、あくまでも側面からサポートすることこそが、機械にはなし得ない教育者の真の役割になっていくのだ。

「何をどう教えるか」ではなく、「誰のどんな学びをどのようにしてサポートするか」(コーチング)、そして「安全な学び合いの場を設け、学び合いを深め、創作活動をどのようにして促進していくのか」(ファシリテーション)が、教師に求められる役割になっていく。

こうなると、教員養成課程が縦割りの「教科教育法」を柱としている制度の限界が浮上してくる。平成12年から段階的に導入されてきた「総合的な学習の時間」や「学校設定教科」など、旧来の教科の枠を超えた学習の取り組みもあるが、まだまだ限定的と言わざるを得ない。

教員を養成する大学のカリキュラムの中に「学習学」が導入できれば理想的だが、そこまでいかなくとも、コーチングやファシリテーションの技法、MI理論(多重知性理論)に基づく多様な学習スタイルに対する理解、そして、保護者対応に必要なコミュニケーション能力の向上など、時代の要請に応える変革が必要である。