目指せ管理職 学校管理職合格講座 IV(14)ボランティア活動で福祉教育充実

eye-catch_1024-768_kyouikukanri教育新聞 教育管理職研究会編

学校の活性化につながる
○福祉教育の充実目指す

多種多様な課題を抱え、日々悪戦苦闘している学校でも、校長が、自校の課題の本質を見極め、解決策を見いだし、全職員でそれを実践し、児童生徒が良い方向に変化すれば、職員は手応えを感じ、学校は活気づく。

その事例として、福祉教育の充実を取り入れて教育課題を解決し、学校の活性化に結び付けたA中学校を取り上げる――。

(1)A校が福祉教育の一つとしてボランティア活動に取り組んだ経緯

生徒に思いやり、自主性、実行力などを培うのがA校の課題であり、校長はその解決の方法として、ボランティア活動を掲げた。

ボランティア活動というと、地域清掃や福祉施設に生徒が出かけての活動を想像するが、校長の発想はそれだけではなかった。校内で手を加えたい事柄について、生徒・職員からボランティアを募った。

しかも、その参加の呼びかけ人も、参加希望者も、校長自身、生徒も教職員を含めて、誰もが行えるというものである。ボランティア活動の原則は「できる人が・できる時に・できることを」であり、忙しい学校現場においても無理なく取り入れることができる。

(2)ボランティア活動の概要

取り組みの流れは、①ボランティア募集用紙(期日・内容・参加者は氏名を記入等)を作成し、募集時に各クラスに掲示する②ボランティア参加証(参加期日・内容・氏名等を記入し活動を証明)を作成し、参加者に配布する③参加に当たっては学級担任と部活動顧問の許可を得る④参加の記録を残し、生徒評価の資料の一つとする――というものである。

校長は、自らボランティアを募集し、生徒とともに活動した。最初の花植え活動には、予想外にも、全校生徒の半数が進んで参加した。校長は、その後も清掃作業、荷物運び、花の水やり、掲示物作成ほか、さまざまな内容でボランティアを募集し、活動を続けた。回数を重ねるごとに、生徒にとってボランティア活動が特別なものではなくなり、職員の自主的な参加も増え、校長以外の職員によるボランティア募集も多くなった。活動は校内から地域へと広がりをみせた。

そして、多くの生徒が年間10回以上参加するようになった。

(3)学校と生徒の変容

生徒は、異年齢の生徒・教師・地域の人々と一緒に活動し、語り合い、自己の良さを再認識し、自主性が増した。指示されなくても校内や部活動の試合会場のごみを拾ったり、困っている友達、小さな子供、お年寄りの支援が、自然にできるようになった。生活態度や学習態度の向上、体力・学力・部活動での成果の向上等も、ボランティア活動の副産物と考えられる(多様な福祉活動の他に、生活・学力・体力・部活動等の向上のために、特色あるさまざまな指導・活動も実践したので、ボランティア活動が全てではないことを付け加える)。

○教育課題の多くが解決

ボランティア活動が盛んになる中で、新しい発見があった。生徒を評価する上で、生徒の隠れていた面が表に出るようになり、良い面により多くの光が当たるようになった。教員が行っていた環境整備・特別室の整備等をボランティア活動とし、大勢の生徒とともに行うと、短時間で作業が終わり、多忙化解消の手段になり、作業中に教員と生徒の人間関係が深まり、交わされる会話から生徒の知識や学習・人生への意識が高まる面も実感できた。

活動が定着すると、次のステップとして、生徒は自主的に、学校や地域に活動の提案をし、実践するようになった。さらに、「一人ボランティア」(A校が名付けたもので、募集等がなくとも、仲間がいなくとも、自分ひとりでも、他人や社会に有用な行動を起こす活動。身近な例ではごみ拾い、弱者への支援など)の奨励と実践というように、ボランティア活動の質を高めていった。

福祉に関する諸活動を新たに取り入れることにより、先に挙げた教育課題の多くが解決の方向に向かい、生徒の全人的な成長がみられ、教員の仕事に対する負担が減った。さまざまな面で望ましい結果が得られるようになったのである。