クオリティ・スクールを目指す(106)インタビューにチャレンジする

eye-catch_1024-768_takashina-school教育創造研究センター所長 髙階玲治

社会に触れる有効な手立て

『教科研究 国語・書写』(No.204、学校図書)に、石川直美非常勤講師(東京学芸大学附属国際中等教育学校)の「インタビューをしよう」という授業実践例が載っていた。

国語の学習であるが、総合的な学習の時間としてインタビューの場を設定している。ただし、1教時程度である。

興味深かったのは、インタビューの前と後では生徒が大きく変容したことである。インタビュー前に「大切なことは何か」を聞いたところ、「礼儀正しく」などの聞く態度と、「聞きだそうとする」姿勢の半々だった。

ところが、インタビュー後は「礼儀正しく」はほとんど消えて、「質問される側に立って」「いろいろな角度から」「1つの話題を深くし、展開する」「話を広げる」などに変わったという。さらに「相手の気持ちを確認しながら共感すること」「聞く内容について旺盛な興味を持つこと」という考えもあった。

1時間程度の模擬的なインタビューの実践であるが、生徒の変容が著しい。

実のところ、総合的学習でインタビューを実践した例が多様にあって、この実践からそのことを思い出した。インタビューは社会性獲得に極めて有効な手法なのである。次期学習指導要領は、単に教科で示される学習内容の獲得ではなく、実社会や実生活に生かすことのできる学びを提唱しているが、その意味からも極めて効果がある。

例えば、小学生が老人ホームを訪問したいと考えた場合、まず自分たちが電話でお願いする。断られるかもしれないと考えて、事前にお願いの言葉を仲間で相談する。

許可されて実際に訪問した場合、インタビューする相手は、老人のみではない。管理人や看護人がいる。食事を作る人もいる。そうした老人ホームのさまざまな人たちに、どのようなインタビューをしたらよいか、子供たちにとっては緊張の連続である。

だが、それは今まで知らなかった世界に踏み込んで得た貴重な体験になる。知らない人にインタビューするのは、今まで過ごしてきた家庭や学校とはまるで違う「社会」という新たな世界に触れることである。子供同士の学びとはまるで違う社会の営みを知ることになる。子供はかなり大人に近づく。

総合的学習にインタビューを積極的に取り入れるのは、「対話的な学び」の深化でもある。それは社会を構成する人々の働きや動き、多様性につながる。インタビューは相手の立場を考えながら、主体的な「問い」を発するという意味で、自らを磨くのである。

今後、学校教育において実社会や実生活につながる学びが積極的に実施されるようになると考える。ただ、学校は余裕を無くしているのが実態で、その意味でも効果的な社会との触れ合いを創り出すことが必要である。