目指せ管理職 学校管理職合格講座 IV(15)教職員の悩みにどう対応する

eye-catch_1024-768_kyouikukanri教育新聞 教育管理職研究会編

「早期発見、早期対応」を心掛ける
○悩みに気付く心と職場環境づくり

高度化、複雑化した情報化社会においては、一層人間関係が希薄となり、精神疾患に悩む人が増える傾向にある。教育現場においても同様で、管理職が、教職員の悩みに対して、どのように気付き、対処していけるのかは、円滑な学校運営を推進していくためには、重要な問題である。

教職員の中には、人に悩みを打ち明けられない性格であったり、悩みがすでに深刻化したりしている状況にあり、タイムリーに対応できない場合がある。

その場合、本人からのSOSをいかに捉えられるか、が重要だ。管理職の面談や日頃の観察などのときに、「あれ、いつもと違って○○だなあ」と気付きが感じられたら、念のため早めの対応が求められる。管理職の前では毅然としていても、同僚や子供たちの前で「あれ変だなあ」と感じる言動については職員間の気付きも大切な見取り(情報)である。

〈参考〉予兆的変化に気付く

・口数が少なくなる(コミュニケーションを避けるようになる)

・表情が暗くなる(覇気、活気がなくなる、笑うことが少なくなる)

・遅れるようになる(出勤時間の変化、提出物などの遅れ)

・退勤が早くなったり、不調を訴えたり、休みがちになる

・落ち着かなくなったり、集中できなくなったりする

・ボーッとしていることが多く見られるようになる

大切なことは、その人の悩みや変化に対して、相互に気付き合える職場の人間関係が構築されているかである。何でも話し合える職場の雰囲気づくりや、何でも相談できる職場の人間関係づくりを、管理職が意識的、恒常的につくっていくのが大切である。

○悩みの種類と質の把握

同僚の気付きによる相談や本人からの悩み相談については、管理職は必ず即応すること。その場合、個人のプライバシーには十分配慮することは言うまでもない。前者の場合は、思い違いも念頭に置きながら、当該教職員との何気ない雑談の中で、心の内を探ることから始める。後者の場合には、落ち着いた状況の中で、相手の心に寄り添うという対応で悩みの内容を聴き取る必要がある。

いずれの場合でも、悩みの内容がどのような要因(職場上の悩み、プライベートな悩みなど)によるものなのか、その内容が解決可能なことなのか、時間はかかっても軽減できるものなのか、職場内では解決が不可能なものなのか、をしっかりと判断し、その判断に従っての迅速な対応が求められる。

○悩みに対応できるシステムづくり

「人は他の人に話すだけで、悩みが半減する」ということもある。本人との面談で大切なのは、「聞く」ではなく、よく「聴く」である。つまり、教育相談的技法を用いながら心に寄り添うのが大切で、決めつけたり結論を急いだりしてはいけない。一度で済む場合もあれば、何度も面談が必要な場合もある。時には当該教職員の家族との面談も必要となる。重要なのは、相談者に悩みを聞いてもらえている、受け止めてくれているという心のよりどころを持たせられるかどうかである。

とはいえ、管理職が本人の悩みを知っても、全て解決することは不可能である。アドバイスや職場内の対応で解決できないのは、専門的な機関や専門職への働きかけを躊躇ちゅうちょなく勧めるのが重要である。そのための時間の確保や休養の取得についても、本人が安心して休めるように配慮することが求められる。

管理職は日頃から、教職員の観察や面談の機会を多く持ち、また何でも相談できる職場の雰囲気づくりをする中で、当事者を孤立化させずに、いい意味でお互いが関われる人間関係、お互いが信頼し尊敬し合える職場づくりを、見える形でシステム化していくことで、「早期発見、早期対応」を心掛ける必要がある。