Joy of Learning 世界の超最先端事例(7)教育における新興国の台頭

eye-catch_1024-768_komiyamaリクルート次世代教育研究院 院長 小宮山 利惠子

昨年11月、ニューデリーで開催されたWorld Robot Olympiadという、レゴのマインドストームを使った小・中・高校生対象のロボット大会に参加した。

47の国と地域から約500チームの参加があり、日本からは15チームが代表として参加。「レギュラーカテゴリー」高校生部門で、愛媛県立八幡浜工業高専が金メダルを受賞、「オープンカテゴリー」高校生部門で、福岡県立香椎工業高校が銅メダルを受賞した。

同大会で優勝するのは至難の業だ。その授賞式を見ていて気になったことがある。台湾、マレーシア、インドといった国・地域のチームが表彰台に立つことが多かったのだ。マレーシアチームと話をしてみたところ、「我々はこの大会が終わった直後から、翌年の大会に向けて学校や政府が一丸となってチームを作り、いかにして大会で勝つかを考える」とのこと。一方、日本チームは、学校や個人がこつこつ頑張ってきて大会に臨んでいる印象だ。

表彰台に立ったチームは、そのほとんどがこれまで日本に追いつけ追い越せと尽力してきた国や地域だ。そのような国・地域だからこそ、新しいテクノロジーや教授法を取り入れる余地があり、政府が莫大ばくだいな予算をもってそれを用いた教育を推進するとなれば、日本は井の中の蛙になる可能性がある。

日本の隣国である中国においても、平成25年に習近平国家主席が教育にテクノロジーを導入すると宣言してから、雨後のたけのこのように各地でテクノロジーを用いた教育がなされつつある。昨年11月に北京で開催された教育カンファレンス「教育科技大会」においても、テクノロジーやAIと教育の可能性について説く講演者は多かった。

「テクノロジーを使った学びは始まったばかりで、苦難の連続だ。しかし、もう道は出来ており、われわれは進まざるを得ない」。上海市の教育関係者の言葉だ。

インドネシア、フィリピン等でリクルートが運営している「Quipper School」。先生と子供のオンラインラーニングプラットフォームで、先生に対するオンライン宿題・課題管理サービスと、子供に対して学習コンテンツやテストを提供している。利用している子供は約300万人、先生は約60万人。国によっては「Quipper」が「宿題」と同義に扱われるほどになっている。

交通事情が悪く、経済的に貧しい家庭がまだ多い新興国だからこそ、政府が主導してインフラを整え、テクノロジーを用いた学びが急速に普及しつつある。(おわり)

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