未来を切り開く教育政策(2)子供の貧困問題と教育

eye-catch_1024-768_t_suzuki_r城西国際大学大学院教授/厚生労働省総合政策参与 鈴木崇弘

厚労省の平成28年の生活基礎調査によると、日本における最新の子供の相対的貧困率(17歳以下の全体のうち貧困の世帯に属する割合)は、前回より2.4ポイント下がり、13.9%となった。これは、約7人に1人の子供が、相対的貧困の中で育っていることを意味する。そして日本では1980年代以降、全体の貧困率も上昇しているが、子供の貧困率は特に速いペースで上昇している。

OECD発表の定義では、「相対的貧困率」とは、国民が得る年収(等価可処分所得)の中央値の半分未満の金額である人口が、全人口に占める割合(貧困ラインに満たない暮らしを強いられている人の割合)を指す。食べ物や着る物に困窮しているような、外見からも明白な絶対的貧困とは異なり、外見から見えにくく、一般生活の中では分かりにくいものである。

他方、27年に、日本財団が「子どもの貧困の社会的損失推計レポート」を発表。その喪失額は40兆円になると指摘し、社会的に大きな反響を呼んだ。

日本でも、「子供の貧困」が大問題となっている。

この貧困問題で最も重要なのは、「世帯収入と学力との相関」「世帯の経済状況と学歴の差との相関」「学歴の差と収入の差との相関」があり、貧困が世代を超えて「連鎖」することだ。そして貧困状態の子供は教育の機会が失われ、成人後の所得が減少し、経済が縮小。その結果、社会の支え手が減少し、社会的に支えられる側が増大。税収や社会保険料が減少し、社会的コストの増大、税負担の増大や公的サービスの切り下げにつながる。

つまり子供の貧困と教育の問題は、現在および今後の日本にも関わる大問題であり、それらの問題から生じる損失は、先のレポートから明らかなように、巨額になると考えられる。

他方、日本のGDP比の公教育支出はOECD諸国で最下位レベルにあり、子供の貧困を助長する可能性も高い。

先のレポートによれば、ノーベル経済学賞受賞者のヘックマン教授は、研究成果を踏まえて、就学前教育の社会的収益率は15~17%と高く、「恵まれない境遇にある就学前の子供たちに対する投資は、公正性や社会正義を改善すると同時に、経済的な効率性も高める非常にまれな公共政策」と指摘している。

日本は、財政赤字が1200兆円と世界的にも最悪の状態とはいえ、その問題解決のためにも、「子ども保険」の議論もあるが、投資としての教育政策強化が今、望まれているのである。

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