LGBTの児童生徒の学校生活~教員に求められる理解(1)性的指向と性自認正しく理解

eye-catch_1024-768_hidaka宝塚大学看護学部教授 日高 庸晴

LGBTあるいは性的マイノリティといった言葉を、以前よりも格段に耳にする。NHKの報道回数は10年前と比すると、現在では50倍以上に上るという。

LGBTとはLesbian(女性同性愛のレズビアン)、Gay(男性同性愛のゲイ)、Bisexual(両性愛の男女であるバイセクシュアル)、Transgender(生まれ持った身体の性別に違和感を持ち、身体の性別とは異なる性別で生きるのを望むトランスジェンダー)の略である。LGBTをはじめとするセクシュアルマイノリティ(以下LGBTで総称)は、人口の5~8%程度の存在率であると推定される。

この連載では、LGBTである児童生徒の実態を示す調査データを示すとともに、学校に必要とされる配慮や支援に当たっての考え方、具体策を述べる。

国際的にみれば、平成23年6月頃からの国連の動きが特筆に値する。

国連人権理事会は「人権と性的指向・性自認」決議を採択、12月にジュネーブで開催された同理事会で、当時の米国務長官ヒラリー・クリントン氏がLGBTの人権課題について演説、27年9月にはUNICEFやWHOといった国連12の機関が、「LGBTに対する差別や暴力を終わらせなければいけない」という共同声明を発表した。

32年に開催される東京オリンピックに向けた動きも見逃すことができない。

26年12月にオリンピック憲章が改正され、「オリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会のルーツ、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない」とされ、性的指向が明文化された。

教育に関わる国内動向として、文科省が27年4月に発出した「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」という通知がある。加えて翌年4月に再度「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について(教職員向け)」といった文書を発表している。文科省が全国の教育現場に対して、いわゆる性同一性障害のみならず、性的マイノリティ全般を視野に入れた文書を2年連続で発し、これを機に、全国の教育委員会や自治体で教員研修の実施が急増している。

LGBTを理解する上でまず必要な知識がある。それは性的指向と性自認の2つであり、それぞれが示す内容と、その違いを正しく知ることが必要になる。

性的指向はどの性別が恋愛感情の対象になるか(対象が異性であるか、同性、両性、いずれの性別へも恋愛や性愛の感情がない等)を示している。

性自認は、自分の性別は男である、女であるといった性別に関する自己認識のことであり、最近では心の性別と表現される場合も多くなっている。

また自らを男であるとも女であるとも感じない、あるいは無性と感じるといった人も存在していることが分かっており、そのありようは多様である。

◇  ◆

京都大学大学院医学研究科修了、博士号取得。米国UCSF医学部エイズ予防研究センター研究員などを経て現職。文科省が2016年4月に発表したLGBT資料作成に協力、文科省幹部職員研修講師等、LGBT理解促進・啓発事業に従事。