クオリティ・スクールを目指す(108)クラスルーム・イングリッシュを

eye-catch_1024-768_takashina-school教育創造研究センター所長 髙階玲治

学級担任の指導への期待

15年ほど前、シンガポールの小学校長の一団が日本を訪問したとき、「日本の教員は小さいときからピアノを習い、水泳もできるのがすごいですね」と言われた。シンガポールはどうですかと聞いたところ、「中国語と英語ができないと教員になれません」と言われ、その方がすごいと感嘆した。

わが国も次期教育課程で小学校に英語を教科として導入するが、学級担任が指導することで不安視する声が大きくなっている。

確かに英語を専門的に学んでいない教員が指導することは不安が大きいであろう。しかし、ALTや専科教員、コーディネータを頼りにするのは限界がある。教員を増加しても英語が堪能とは限らない。やはり、学級担任の指導が重要である。

その小学校の英語教育についてベネッセの「VIEW21」(教委版)の最新号が特集を行っている。特に注目されるのは、担任が独り立ちすることへの期待が大きいことである。しかも、その可能性が高いことを具体的に示していて参考になる。

例えば、「子供に教えなきゃと気負わずに、1つでも多くクラスルーム・イングリッシュを使おうとしている先生ほど、子供が伸びる」(鳥取県雲南市)という。「先生も苦手だから皆と一緒に上手になりたい。できないところは一緒にALTに教えてもらおう」という姿勢で、毎日少しずつ言葉を増やす。

「授業の目標を見える化し、授業の進め方を教えやすく学びやすいように構造化して、固定化したことが非常に効果的」で教員の不安感を小さくしたという。

その授業の流れは、(1)ウオームアップ(挨拶、歌など)(2)デモ(本時のゴールへの見通し)(3)アクティビティ(メインになる活動)(4)振り返り(カードの記入と評価)、である。

この1コマの流れをある程度固定化する考えは、東京都町田市にもみられる。

中学年向けの例示であるが、「狙いの明示→スモールトーク→目標表現の導入→発表活動→絵本→振り返り」である。

教師は英語指導に自信がなく不安感を持っているのは確かだが、「やりたくない」のではなく、「やり方が分からない」だけだという。

そうであれば、例えばクラスルーム・イングリッシュを積極的に導入して指導方法を確立すれば、英語を指導したいという教員も増えるのではないか。

英語の導入については移行期から、授業時間増の課題があってモジュラーや総合的な学習の時間からの借用などが話題になっているが、最も大事なのは担任教師のやる気の形成である。

学校として担任が独り立ちできる体制をどう作り上げるか、学級担任の効果的な指導環境づくりに向けて、教委もまた積極的な支援を行う必要がある。