未来を切り開く教育政策(4)必要なライフ・リテラシー教育

eye-catch_1024-768_t_suzuki_r城西国際大学大学院教授
厚生労働省総合政策参与
鈴木崇弘

近年、働き方改革の議論が盛んだ。特に、安倍政権は、現在起きつつあり、今後、加速化が予想される人口減少および少子高齢化の中で、生産年齢人口の激減が想定されるために、その対処として働き方改革のさまざまな政策を打ち出している。だが、その中で、議論されることなく、政策も打ち出されていないものがある。仕事や生活について学ぶ機会に関しての政策である(注)。

核家族や自営等の減少に伴い、職住の場の乖離などが進み、若い世代が身近に仕事について学ぶなど、生活と仕事との関係性を実感できない環境が進展してきた。そのため、学校教育の中で、仕事や生活などについて学ぶことが制度化される必要が生まれ、2000年頃からは、仕事についてはキャリア教育の議論がされ、それに関する施策が行われてきた。

だが、今後の激減する生産年齢人口の状況では、より多様な人材および個人の人生において変化する、多様なライフスタイルが考慮されて、生活し仕事ができるようになる必要がある。

そのためには、従来の学校教育では必ずしも重視されてこなかった、人生の意味や働くことの個人的・社会的意義、働く者の権利に関しても学べるべきだろう。

また今後新しい働き手になる若い世代にとって、社会における雇用のあり方や、個々の雇用条件に関するリテラシーを高めることは、極めて重要である。その中には個人の自律力向上のために、働くことのリテラシーを高めると同時に「新しい働き方」を学ぶことが必要だ。そこで、次のような施策が取り入れられるべきだろう。

(1)働く者リテラシー教育の構築

▽学校教育などで、働く者としての権利や意味を理解する教育プログラム設置。なお、学校教育では既存科目の中にそれらを学ぶ機会を組み込むこと▽高度人材育成のために、職業高校や高等専門学校(高専)などの、職業専門の教育機関の再評価や再活用の方法の構築など。

(2)ライフイベントを学び体験するプログラムの構築

▽より包括的なプログラムを開発し、可能であれば中・高校教育に組み込む。その中では、人生の楽しさや厳しさも同時に学び、体験できるように工夫。

(3)日本版デュアルシステム推進

▽仕事現場を実体験できるインターンシップの実効性を高めるため、就職前に仕事に関する十分な情報や経験が提供できる仕組みを構築し、日本版デュアルシステムなどを推進する。

◇ ◇ ◇

(注)働き方に関しては、筆者も関わった「政策提言・新しい勤勉」(PHP総研)を参照。

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