目指せ管理職 学校管理職合格講座 IV(17)さまざまな事案から学ぶ

eye-catch_1024-768_kyouikukanri教育新聞 教育管理職研究会編

普段から自校での事故を想定する

○実践的な学びが重要

普段から危機感を持つ。言葉にすると簡単であるが、どこか心の隅には、「自校では」「まさか本校の生徒が」という気持ちがある。テレビや新聞で報道される事故は決して他山の石ではない。管理職は、情報として知るだけでなく、その立場に立って、自分ならどう判断し、どう対応するかを考える必要がある。それには、実際に起こった事案から実践的に学ぶことが重要である。

○校外での事故

今年3月、栃木県那須町のスキー場で雪崩事故が起き、高校生と引率の指導者が尊い命を失った。まだ記憶に新しい痛ましい事故である。

小・中学校には登山部や山岳部はないが、夏の林間学校での登山、ハイキング、冬のスキー学校など、校外で体験学習が行われる。こうした登山やハイキングでも事故の危険性はある。計画立案の段階において下見をして、十分に危険箇所をチェックし緊急時の対応も考えられている。

しかし、最近の異常気象による大雨、突風、落雷等は想像以上のものがある。今までの経験や知識を超えた事態が起こっている。校長か副校長、教頭が必ず引率し、最高責任者として責任を負うことになる。計画から実施に当たっては、想定を超えた事態を踏まえておきたい。できれば、地元の登山ガイドを依頼するとよい。ガイドとの事前の打ち合わせを十分に行い、引率者・児童生徒による十分な準備、注意点の確認、緊急時を想定した対策と体制をつくっておくことである。

○校内での事故

夏のプールでの水泳指導で配慮しなければならないのが、飛び込みによる事故である。日本スポーツ振興センターの調査によると、平成17年度から27年度までに、小・中・高校生の授業や部活動中の飛び込みで後遺症が残った事故は約30件も発生している。このため「プールでの飛び込み禁止」としている自治体も増えている。原因は、(1)プールの水深が浅い(2)プールへ飛び込む角度が大きい(3)指導者の不適切な指導(4)自由時間等指導者の目が届かない――等。学校のプールは、競技用に作られていないため、中央が深く周りが浅い構造となっている。また、溺れ事故を防ぐために水深を浅くしていることが多い。学習指導要領では、小・中学校の水泳授業では「水中スタート」と定められているので徹底したい。

次に、近年問題となっている組み体操による事故である。組み体操による事故は毎年多い。27年に大阪の中学校で起こった、10段ピラミッドが崩れ、生徒が骨折する事故は記憶に新しい。組み体操の教育的な価値は、困難に挑戦し、仲間と作り上げる達成感や一体感にある。難事に挑戦するのも大切な教育活動であるが、けが等を伴う活動は避けたい。事故の多くは、タワーとピラミッドである。

組み立て段数を低くしたり、種目を変更し、達成感や一体感を得られるよう配慮している学校もある。教育委員会が中止を指示したところもある。しかし、こうした種目を実施する学校においては、児童生徒の身体的発達、個々の児童生徒の差などを考慮しながら、安全な組み方・作り方、そのための指導方法や事故への対応等を十分に研修した上で実施するべきである。「毎年実施してきたから今年も……」などの安易な考えは決してあってはならない。

管理職には、普段から、今まで以上の危機感を持ってほしい。生々しい実際の事案から学ぶ。それが最も大事である。事故の状況把握、起因の分析、対応の考察、判断およびその基準などの学びを一つ一つ積み重ねていきたい。もちろん、その根底には人命第一という視点がなければならない。中止したり、延期したり、変更したりすることには、勇気と決断が求められるが、その判断は学校の最高責任者である校長の仕事である。