LGBTの児童生徒の学校生活~教員に求められる理解(2)まずは2つの概念理解から

eye-catch_1024-768_hidaka宝塚大学看護学部教授 日高 庸晴

性的指向が異性に向く人(異性愛者)が世の中の多数であるが、対象が同性や両性に向く人など、実にセクシュアリティのありようは本来多様である。

性的指向のマジョリティは異性愛者となるが、マイノリティである同性愛や両性愛者は、Lesbian(女性同性愛のレズビアン)、Gay(男性同性愛のゲイ)、Bisexual(両性愛の男女)と呼ぶ。性自認に関するマイノリティはTransgender(生まれ持った身体に違和感を持ち、身体の性別とは異なる性別で生きることを望むトランスジェンダー)と呼ばれ、これらの頭文字をとって、LGBTと称されている。

国内広告代理店である博報堂が28年に全国の20~59歳までの10万人を対象に(有効回答者数8万9366人)スクリーニングした結果、レズビアン1.7%、ゲイ1.94%、バイセクシュアル1.74%、トランスジェンダー0.47%という人口規模が見積もられており、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアルの合計は5.38%、トランスジェンダーはその11分の1程度である。

カリフォルニア大学ロサンジェルス校ウイリアムズ研究所の試算でも、レズビアンやゲイ、バイセクシュアルのおよそ10分の1程度が、トランスジェンダーであると推定されている。また、学齢期や思春期に多く見られることとして、性的指向や性自認がはっきりしていないことや、明確に定まらないこと、揺れ動いている状況がある。その状況をクエスチョニング(Questioning)と呼び、これらの頭文字をあわせてLGBTQと呼ぶ場合もある。

少なくとも人口の5%強であるということは、クラスに1~2人が存在すると推測されるが、学校現場にそのリアリティはないだろう。

そうした中、学校現場で圧倒的に注視されやすい存在は、性自認の揺れや性別違和を持つ児童生徒である。古くは13年放送の「3年B組金八先生(第6シリーズ)」において、身体的性別は女子であるが、性別違和を抱く中学生が描かれたことや、これまでの国や文科省の取り組みも「性同一性障害」を対象にしたものが多く、性自認のマイノリティである児童生徒を想定したものが大半であった。

背景には、大人が「常識」であると内面化している男女の性役割や行動と少しでも反する場合、「性同一性障害ではないか」と先生方に言われることや心配されることが多い。

例えば、野球帽を好んだり、男子とばかりサッカーに興じたり、スカートを厭(いと)いズボンを好む女子がいれば、「男子になりたいと思っているのではないか」、外遊びを一切せず女子とばかり室内でお喋りをするアニメの女子キャラクターを好む男子に直面すると、「女の子になりたいと思っているのではないか」と心配しているという。

性的指向のマイノリティである児童生徒は自らのそれを表明することはなかなか少なく、一方で性別違和を抱える性自認のマイノリティである児童生徒はその違和感を訴えることが以前よりは多くなってきており、比較をすれば可視化されやすい存在になってきたともいえる。しかし、そもそも学校現場では性的指向と性自認の違いを正しく理解できていない場合や、その混同が多く起こっている。

LGBTを理解する上でまずは、性的指向と性自認という2つの概念理解から始めていく必要があることを強く訴えたい。

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