未来を切り開く教育政策(5)増大するリカレント教育の必要性

eye-catch_1024-768_t_suzuki_r城西国際大学大学院教授
厚生労働省総合政策参与
鈴木崇弘

世界保健機関(WHO)の平成28年版「世界保健統計」によれば、27年の日本人の平均寿命は83.7歳で、世界首位。男女別では、女性が世界首位の86.8歳、男性が6位の80.5歳。

また28年の厚労省発表によれば、全国の100歳以上の高齢者は前年比4124人増、過去最多の6万5692人。46年連続の増加で、今後も続くと予想される。

このように日本はすでに人生80年を実現し、医療技術のさらなる進歩とともに、人生100年時代が視野に入ってきている。

他方、人口激減による働き手不足と、財政難の中、年金支給の引き上げも現実化し、60歳定年制が終わって、働ける年齢が上昇。70歳でも働ける環境が生まれてきている。

このように考えると、大学卒業からリタイアまでに50年近い期間がある。それは、人生50年時代の2倍程度の勤労期間があることを意味する。

また、今後AIをはじめとする科学技術などが、社会を短期間に変革させることが予想される。

このような中で、私たちが自分を社会の中で生かすには、人生で3、4度のターニングポイント(TP)を意識する必要がある。

まず1度目のTPが、高校・大学を卒業し就職する時期。学業から就業に変わる時期だ。

2つ目のTPは、30歳半ばから40歳前半の時期。仕事の経験もある程度積み、気力があり、新しい挑戦も可能で、現在の仕事の方向の適切性に悩む時期でもある。同時期は、最近議論される「40歳定年」問題にもつながる。

3度目のTPが、50歳代から60、65歳という現在の定年時に当たる時期。この時期は、いま一度、人生で自分の力を発揮し、生活の糧を得る時期に当たる。

さらに、人生100年時代を迎えれば、70歳代でもう一度TPを迎えるかもしれない。

このように、現在および今後の人生では、これまで以上により多くのTPを迎え、自己を考え、修正や改善していくことが必要になると考えられる。

従来であれば、大学卒業後は、主に職場かOJTで研さんを積んでいくしかなかった。終身雇用がうまく機能していた時期は、その対応で問題はなかったが、現在のように社会の変化が短期間かつ急激に起きてくると、企業や組織も、そのような対応が取れなくなる。

そこでは個人は、特定企業・組織の枠の中で自分を生かすよりも、社会的に自分を生かす可能性を見いだすことが必要だ。

そのように考えていくと、現在は必ずしも存在しないが、TPのステージごとに対応した、リカレントな学びを得られる教育の場の構築が望まれるのである。