子どもの貧困と学校給食(1)給食費未納は親のモラルの問題か

eye-catch_1024-768_gan跡見学園女子大学教授 鳫咲子

この連載では、子どもの貧困と学校給食をテーマに、主に給食費未納問題と、公立中学校の給食実施率の自治体間格差について述べ、給食費無償化について考えていきたい。

文科省の「学校給食費の徴収状況に関する調査」は、平成17、21、22、24年度の4回行われた。最新の調査では、未納者の割合は0.9%と報告されている。

学校が認識する未納の主な原因は、「保護者としての責任感や規範意識の問題」が61%、「保護者の経済的な問題」が34%である。すなわち、学校では、「お金があるのに払わない」モラルの問題が約3分の2、「お金がなくて払えない」経済的な問題が3分の1とみている。

20170912_子どもの貧困と学校給食1しかし、給食費が未納の児童生徒の割合の推移をみると、図のように、常に中学生の未納割合が高く、小・中とも人数割合は低下傾向にある。

仮に給食費未納のほとんどが「親のモラルの問題」ならば、中学生の未納率が高いことを、どのように説明するのか。子どもが中学生になると、親のモラルが低下するのか。

小学生と比較して中学生の未納率が高いのは、子どもにかかる費用が中学生の方が高いという経済的要因が影響していると考えられる。

文科省の「平成26年度子どもの学習費調査」によれば、学校関係で必要な費用は小学生年間約10万円に対して、中学生は年間約17万円に上る。小学生に比べて、制服・通学代などの通学関係費、クラブ活動費などの教科外活動費、修学旅行・遠足・見学費などが高額になっている。

憲法第26条には、国民に教育を受ける権利を与え、保護者に子どもに教育を受けさせる義務を課し、さらに「義務教育は、これを無償とする」と書かれている。しかし、義務教育のうち無償のものは授業料や教科書に限られ、給食費以外にも多くの自己負担が必要である。

神奈川県海老名市の個別の聞き取り調査では、未納家庭の状況について、理由が判明した支払いの遅れの7割が「給料日前で手持ちがない」など経済的理由、3割が「銀行へ支払いに行く時間がない」との理由であったことが判明している。

次回は、なぜ学校は、給食費未納を親のモラルの問題とみてきたのか考えたい。

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参議院事務局調査員を経て現職。 主な著書に『給食費未納』、『子どもの貧困と教育機会の不平等』。博士(法学・筑波大学)。