LGBTの児童生徒の学校生活~教員に求められる理解(3)学校現場での支援のヒント

eye-catch_1024-768_hidaka宝塚大学看護学部教授 日高 庸晴

文科省が平成27年4月に発出した通知には、教職員が「悩みや不安を受け止める必要性は、性同一性障害に係る児童生徒だけでなく、いわゆる性的マイノリティとされる児童生徒全般に共通するものである」と明記されている。レズビアン・ゲイ・バイセクシュアルといった同性愛や、両性愛の性的指向を持つ児童生徒の存在に、文科省が初めて言及した文書である。

28年4月には前年通知を基にした教職員向け手引書が出され、29年3月には「いじめの防止等のための基本的な方針」の中で、性的指向と性自認に係る児童生徒へのいじめを防止するために、教職員の理解促進や学校として必要な対応を周知することが記されている。

LGBTの児童生徒の学校生活~教員に求められる理解3 文科省通知抜粋本稿では、27年の通知に収載された「性同一性障害に係る児童生徒に対する学校における支援の事例(表)」について解説する。

当該児童生徒への対応に当たって、何をどのようにしたらいいか分からず、具体的な想像が困難な学校現場にとって、「事例」は多くのヒントになる。しかし、留意すべき点がいくつかある。

(1)マニュアルとして用いることなく、あくまで参考にとどめ、当該児童生徒と信頼関係を築き、話を聞き、ニーズにしっかり向き合う。

(2)子供の性別違和の診断は一般に難しく時間も要するため、支援と配慮に当たって診断書の提出を求めない。つまり、医療機関の受診の有無にかかわらず、柔軟な対応が求められる。

(3)秘匿しておきたい児童生徒の心情に十分に配慮するとともに、支援に当たって全校生徒や学級でのカミングアウトの促進や、それを前提としない。カミングアウトさせるのが理想的な指導例ではないことに、理解を要する。

(4)子供の性別違和は成人するまで必ずしも持続するとは限らず、発達段階に応じて性自認に揺らぎがあると知っておく。

(5)「事例」にある支援と配慮はむしろ最低限と捉え、ニーズに応じて柔軟に対応していく――などが望まれる。

性別違和を抱える児童生徒のニーズや特徴に共通する点はあるが、全て同じであるとは到底いえず、まさにそれは多様である。「事例」に固執して画一化・単純化した対応にならないように、十分に留意しなければならない。

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