未来を切り開く教育政策(6)AI時代に必要な教育とは?

eye-catch_1024-768_t_suzuki_r城西国際大学大学院教授
厚生労働省総合政策参与
鈴木崇弘

最近AIが、社会的にも、世界的にも大きな注目を集めてきている。ディープラーニングによる自己学習が可能になり、今後、人間と同じような知的な振る舞いができる汎用AIがつくられ、シンギュラリティ(技術的特異点)のような状況が生まれるという予想が、現実味を帯びてきたからだろう。

それは、AIなどの高度な機械が加速度的に進化することにより、機械がいずれ人間を上回る知能ばかりか、意識まで持つという予想であり、優れた人工知能が創造され、再帰的にさらにより優れた知性が創造されることで、人間の想像力が及ばない、超越的な知性が誕生するだろうという仮説である。

発明家で実業家である、GoogleのAI開発の総指揮者レイ・カーツワイルは、そのリーダー的信奉者だが、それを2029年と予想する。

このシンギュラリティの実現の可否および時期は議論が分かれているが、もし実現すると、あらゆる産業で労働が不要になり、機械によって、いくらでも作り出せる純粋機械化経済が生まれると考えられている。そのような状況にまでなるかどうか、現時点ではまだわからないが、今後、AIなどの発展により、その方向に近い状況になっていくのは予想される。

しかも、現在そして今後、ICT、IoT、VR、フィンテック、ブロックチェーン、ビッグデータ、3Dプリンター、シェアリングエコノミー等のさまざまな新しい動きが、猛烈な勢いで相互に密接に連動し関連し合いながら進展し、社会を大きく変貌させていくのは確実だ。

そのような状況や方向性の中、教育も大きく変わることになる。

これまでのように、社会変化にある程度の期間が必要とされた時代には、経験がある年長者が若い世代に知識や情報を与え、教え育てることが、特に大衆教育で社会性を身に付けさせる上では有効な教育手法だった。

しかし今後は、社会が短い期間で変化し続けるようになる。時間をかけて知見や情報を教育しても、すぐに陳腐になり、役立たなくなる可能性が高い。それよりも、絶えずそれを学び続けられるスキルや土台を教育の中で身に付けることが重要になる。

それらを基にして、AIなどのテクノロジーを活用しながら、仕事をしたり、活動していくことになるのだろう。

その意味で「教育」より、個々人の「学習」がより重要になる。それは現在のメインの教育とは全く異なるものになる。今から新しい教育政策や、関連する議論を始める必要がある。