子どもの貧困と学校給食(2)なぜ学校は、親のモラルの問題と見るのか

eye-catch_1024-768_gan跡見学園女子大学教授 鳫咲子

平成27年に行われた「さいたま市学校事務職員アンケート」によれば、集金日から1カ月以内に納入されない給食費の件数は、学校によって0から31件以上まで幅がある。

滞納件数が多い学校では、親の経済的な問題と考える学校事務職員が多かった。

滞納事例が少ない場合は、一部の保護者のモラルの問題と見られがちで、滞納事例がある程度多いと、親の経済的な問題と理解される傾向がある。

子どもの貧困と学校給食2保護者に経済的な問題がなく、生活水準が高いと判断する根拠として多い回答は、「高価な車に乗っている」「ブランド品のバッグを持っている」だった。しかし、見栄を張り、生活水準以上の消費をする人もいる。

滞納への対応として、小・中共に「保護者と直接行っている」のは約4割で、「児童生徒を経由している」割合が約6割と高かった。

「多忙な保護者となかなか連絡が取れない」「外国人のため日本語が通じない」という声もあった。

また、就学援助の相談や給食費の督促で、保護者や子どもに負い目を感じさせないように、「保護者への督促は封筒に入れ糊付けしている」「担任に督促は行わせない」「生徒を通さず保護者と直接やり取りしている」「援助の勧めは『皆さんにお伝えしていますが』と付け加える」など、さまざまな工夫をしていることもうかがわれた。

文科省「平成24年度学校給食費の徴収状況に関する調査」によれば、保護者への督促の対応者は、小学校では校長・教頭の管理職が59%と最も高く、中学校では学級担任が57%と最も高い(図表)。

中学校では、小学校と比べて教育委員会等職員による対応、その他の割合が高い。その他には、PTA関係者が含まれるが、個人情報の保護が法的に担保される教育委員会とは異なり、PTAとの連携における未納情報の扱いには十分な配慮が必要である。

小・中合わせた全体的な傾向として、校長・教頭、学級担任、学校事務職員など学校内の対応者の割合は減り、学校給食センター事務職員、教育委員会等職員という学校外の対応者の割合が増えている。

この背景には、教員の多忙化や、給食費の督促という家庭のプライバシーに関わる問題への対応が、学校で難しくなっている状況がある。

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