目指せ管理職 学校管理職合格講座 IV(18)災害時の指定避難所の運営

eye-catch_1024-768_kyouikukanri教育新聞 教育管理職研究会編

教育機関の本来の目的を妨げぬよう配慮
○児童生徒への影響を最小限に

阪神・淡路大震災や東日本大震災のような大規模地震災害。最近では、昨年の熊本地震、今年7月の九州北部(福岡・大分県)豪雨災害で、多くの被災者が極限状態の中、指定避難所での長期にわたる共同生活を余儀なくされた。

指定避難所となる公共施設は、小・中学校を中心とした教育施設が多いので、児童生徒への影響を最小限度に抑えるよう配慮しての開設、運営が必要である。法律でも次のように定められている。

▽災害対策基本法第49条4(指定緊急避難場所) 洪水や津波など異常な現象の種類ごとに安全性等の一定の規準を満たす施設又は場所を市町村長が指定する。

▽災害対策基本法第49条7(指定避難所) 災害の危険性があり避難した住民等を災害の危険性がなくなるまでに必要な間滞在させ、または災害により家に戻れなくなった住民等を一時的に滞在させるための施設として市町村長が指定する。

○指定避難所となった場合の学校職員の対応と役割分担

主に次のようなものがある。

(1)災害発生直後の混乱状況での避難所の開設・運営責任者は、原則として市町村担当者。

(2)勤務時間中においては、全職員が避難所運営等の市町村災害対策業務に協力する。

(3)土曜、日曜、祝日、夜間等の勤務時間外の場合は、市町村避難所配備に指名されている教職員を中心に、可能な限り日時を問わず出勤する。

(4)避難所配備教職員の出勤は、徒歩、自転車とする。自動車による出勤は、道路の破損等による渋滞、緊急車両の通行の妨げや救援活動に支障を及ぼす恐れがあるので避ける。

○指定避難所の学校開設時における児童生徒への対応について

小・中学校では、児童生徒を来校した保護者に引き渡すまでの間、学校施設で保護する。大規模な地震災害等の場合、保護者が帰宅困難者となる場合もあるので、引き渡しまで時間がかかることが予想される。また、大規模な地震災害等の場合は、指定避難所として施設開放後は避難者も殺到するので、教職員を避難時対応と児童生徒対応に分ける。

児童生徒担当職員の対応は次の通り。

▽児童生徒の待機場所を定め、安全な経路で誘導し、待機場所に避難させる。

▽待機している児童生徒の人員点呼による人数確認・健康状態の把握に努める。

▽待機している児童生徒の把握後、保護者にメール・電話等による連絡に努める。

▽保護者と携帯メール等で連絡の取れない場合は、避難所掲示板や防災放送も依頼する。

▽保護者に引き渡すまで待機児童生徒に配給する、最低限の飲料水・食料等を確保する。

○学校を避難所として活用する運営組織をつくる

避難者が増え避難生活が長期化することが予想される場合、避難所配備職員や校長(学校職員)のみで指定避難所の全てを運営するのは不可能である。避難所は、原則的に行政(市町村)、校長(学校職員)、避難者(住民)の三者が協力して開設するもの。

校長・副校長(教頭)は、日頃から、行政(避難所責任者)やPTA、地域の自主防災組織、自治会、町内会等との交流を生かし、災害場面を想定し年数回の行動訓練を実施する中で、いざという時に対応できる避難所の運営システム構築が求められる。その中で、行政の役割、学校(教職員)の役割、地域住民の役割やルール等をあらかじめ取り決めておく。また、避難所運営に女性の意見を取り入れるため、年齢差等を考慮し、多くの女性が避難所運営に参加できる組織をつくらなくてはならない。

教職員は、避難所運営に全面的に協力するが、授業の再開が本来の業務であることを忘れない。

校長は、避難所の運営に関して、教職員に過度の負担がないように留意する。避難所運営に関わる教職員と学校の授業再開に関わる教職員とに分けることも必要であろう。

校長・副校長(教頭)の避難所運営とは、児童生徒の保護、教育の再開といった小・中学校の教育機関としての本来の目的を妨げないよう配慮した上で、学校を避難所として地域に開放し活用することである。